神戸女学院大学で教鞭をとる傍ら、執筆活動にも精力を注いでいる内田樹氏。様々な視点から現代社会の仕組みを読み解く内田氏が考える現代人のストレスと、その対処法を語ってもらった。

(取材・文/高橋朋子、写真/川本聖哉)

ストレスの解決法は「もう少し賢くなること」

内田樹(うちだ たつる)。1950年9月30日生まれ。神戸女学院大学教授。
東京大学文学部仏文科卒、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退後、同大学人文学部助手などを経て、現職。専門はフランス現代思想、映画論、武道論。合気道六段、居合道三段、杖道三段を持つ武道家。著書に『下流志向』、『私家版・ユダヤ文化論』(第6回小林秀雄賞受賞)、『ひとりでは生きられないのも芸のうち』など多数。(画像クリックで拡大)

――大学教授、エッセイスト、武道家とさまざまな顔をお持ちですが内田先生の、1週間のスケジュールをお聞かせください。

内田: 本業は大学教授なので週4日、神戸女学院大学で授業があり、合間に会議や武道の稽古をします。毎月1冊のペースで本を出し、原稿も年に50本以上書いている。さらにインタビューや講演、対談もあるので、ほとんど休日はありませんね。

 その中で、ブログ「内田樹の研究室」をほぼ毎日更新しています。私は朝型人間なので、ブログを書くのはだいたい朝、起きて朝食前か出勤前。コーヒーと「おめざ」を片手に仕事を片付けます。糖分をとらないと頭が回らないんです。

内田樹によるブログ「内田樹の研究室」
2008年6月現在、累計1400万ヒットを超す人気ブログ。ほぼ毎日更新されるブログの内容は、政治や教育、フェミニズム論から映画論まで幅広い分野に渡る。内田氏ならではの、独自の視点とユーモアで記されている。著書の多くがこのブログの記事を編集したものである。
http://blog.tatsuru.com/

――それだけの仕事を毎日こなしていると、仕事から逃げ出したくなることはありませんか。

内田: もちろんあります。オフがないまま何週間も仕事が続く時、締め切りが続く時、会議が続く時、新幹線での移動が続く時は、本当に全部放り出して逃げ出したくなります。 仕事からというより、そういう仕事を引き受けてしまった自分自身の愚かさから逃げ出したくなりますね。

――そんな時、どのようにストレスを解消したり克服したりするのですか。

内田: もとはといえば、自分の無思慮が生み出したストレスですから、抜本的には「もうすこし賢くなる」ということしか解決法はないです(笑)。

 必死で働いている時には賢くなる余裕がないので、とにかく仕事をしない時間をつくる。原則として夜6時以降は仕事をしないと決めています。どんなにスケジュールが詰まっていても夜に書き物はしません。合気道や杖道や能楽の稽古がある時はお稽古をして、お風呂に入って、お酒を飲んで、映画を見て、マンガを読んで、寝ます。

 このスケジュール管理を徹底してオフの時間を何とか確保しているので、日々のストレスは少ないですね。