杭州から蘇州に寄り道をして、旅の最終目的地、上海に入ったのは、旅を始めてから2ヶ月経った9月の終わりだった。バスターミナルでタクシーに乗り、朱さんに教えてもらった「錦江之星」というホテルを目指したが、渋滞もあってかなかなかたどり着かない。やっと着いたと思ったら、「申華商務大酒店」とある。まったく違うホテルじゃないか。
「ここじゃない!」
と運転手に怒ったが、
「いやいや、ここはいいぞ。安いぞ。俺がちゃんと交渉してやる」
などと全然反省する様子がない。このホテルと何かつながりがあり、客を連れて来るとマージンでももらえるのかもしれない。まったくとぼけた運転手だ。

 しかし、とりあえず、と言って見た部屋はそんなに悪くない。よく地図を見ると、中心街の豫園にも歩いて行ける。これで240元(約3840円)は、たしかに安い。上海のホテルは、安くても300元(約4800円)以上はするのだ。私はすっかり怒りもおさまり、このホテルに泊まることに決めたのだった。