次に、工場の裏手にある、仕込み水の源流を見に行った。そこは美しい湖だった。淡水真珠の養殖も行われているこの鑒湖には、会稽山脈の伏流水が、こんこんとわき出ている。鑒湖の水は、有機分が少なく低硬度で、酒造りに適した名水だという。この湖心から直接パイプラインで引いた水を濾過した後、仕込み水として使っているのだ。

鑒湖(画像クリックで拡大)

 その後は、金工場長が紹興酒の造り方を丁寧に説明してくれた。まず最初にすることは、酒葯(チューヤー)造りだ。酒葯の配合は秘伝で口外を禁じられていると言うが、「漢方薬の材料となる薬草、うるち米、そして代々使っている古い酒葯を混ぜる」とほんの少しだけ原料を明かしてくれた。酒葯の目的は酵母の培養で、紹興酒の場合、酵母は添加しない。この酒葯に、小麦麹と蒸した糯米、水を混ぜ、酒醸(酒母)を造る。

 紹興酒の仕込みに使う掛け米原料は、糯米。85%程度に精米された糯米は、平均10日以上もの間、鑒湖の水に浸漬される。また、麹は小麦から作った麦麹。小麦を磨砕し、水を打ちながらレンガ状に固めた塊を小さく切断し、麹室に移して12~15日間、じっくり保温した後、乾燥して作られる。