すでにご覧になっている方もいるかもしれないが、まずはこの動画を見てほしい。「Wii Fit」でフラフープを楽しむ女性をこっそり撮影した映像で、タイトルは「Why every guy should buy their girlfriend Wii Fit.(なぜ男性は彼女にWii Fitを買ってあげるべきか?)」だ。

 この動画は人気になり、似たような動画がいくつも公開された。が、ちょっと"できすぎ"ているため、バイラルマーケティングではないかと疑問もわき起こった。

 バイラルマーケティングとは「既存顧客を通じて間接的に商品を訴求する販促手法」のこと。前回の「ケータイの電磁波でポップコーンができる? YouTubeの冗談映像」もまさにそれだった。

Wii Fitでフラーフープをしている女性の映像。ちょっとユーモラスでセクシーな感じが世界中でウケた

Wii Fitでフラーフープをしている女性の映像。ちょっとユーモラスでセクシーな感じが世界中でウケた

 最近では、「YouTube」に動画を公開して世界中の関心を集める販促手法が登場し、一種の競争のような状態にもなっているが、それって"やらせ広告"ではないだうか。

 今回の動画をバイラルマーケティング問題として大きく取り上げたのが英国の高級紙「テレグラフ」の記事「Wii Fit underwear girl: A marketing hoax? (下着姿のWii Fit女:これって広告用の悪ふざけ?)」だ。

 この動画がバイラルマーケティングの疑念を強くしたのは、作成した人物がティンズリー・フル・サービス・アドバタイジング(Tinsley Full Service Advertising)社、つまり広告代理店のインタラクティブ・メディア担当ディレクターだったことからだ。さらに"彼女"とされている女性も同社の社員らしい。しかも、投稿者の名前が社名になっている。

 困ったのは任天堂だ。テレグラフの記事にもあるが、任天堂ではこの動画に100%関与していないと言明している。むしろ、騒ぎになってから任天堂も気がついたようだ。

 バイラルマーケティングは、ある意味で企業にとってももろ刃の剣となりかねない。

カルド・システムズ(Cardo Systems)社は、ポップコーン動画がバイラルマーケティング用だったことを種明かしした。「400万人も見てくれてありがとう」というメッセージにはちょっと複雑な気持ちにさせられる

カルド・システムズ(Cardo Systems)社は、ポップコーン動画がバイラルマーケティング用だったことを種明かしした。「400万人も見てくれてありがとう」というメッセージにはちょっと複雑な気持ちにさせられる

著者

佐藤 信正(さとう のぶまさ)

テクニカルライター。1957年東京生まれ。国際基督教大学卒業後、同大学院で言語学を学ぶ。小学生のときにアマチュア無線技士を免許をとり、無線機からワンボード・マイコンへ興味を移す。また初代アスキーネットからのネットワーカー。通信機器や半導体設計分野のテクニカルライターからパソコン分野へ。休刊中の「日経クリック」で10年間Q&Aも担当していた。著書「Ajax実用テクニック」「JScriptハンドブック」「ブラウザのしくみ」など。