FMCの先がけも

 FMCというキーワードがある。FMCは「Fixed Mobile Covergence」、すなわち固定網と携帯電話網の融合を意味する言葉である。たとえば1台の端末が、宅内では固定網、固定ブロードバンド網を使って通話や通信をし、屋外では携帯電話のネットワークを使って通信するようなイメージである。すでに世界ではサービスとして提供されている国もある。ところがわが国では固定網と携帯電話網はお互いに競合として考えられ、なかなかシームレスな通信サービスが実現していない。これは、通信キャリアが自ら端末を企画・開発していることによる弊害である。たとえば世界では、1台の端末で携帯電話ネットワークと、無線LANの両方の通信機能を備えた端末が多数発売されている。世界では、何も高い携帯電話通信料を払ってゲームコンテンツをダウンロードする必要はないのだ。宅内で無線LAN経由でコンテンツにアクセスすれば、通信料は無用だ。

 iPhoneは、携帯電話の各種通信方式をサポートしつつ、無線LAN環境でも通信が可能である。何も携帯電話の「遅くて高い」ネットワークを使わずとも、インターネットを利用できたり、アプリケーションをダウンロードできるのである。

 つまりiPhoneが広まっていけば、通信ネットワークごとにサービス提供主体が異なっていたわが国の通信キャリア各社において、ようやく「手を組んでいこう」という気運を高めるきっかけになっていくものと考えられる。さらにその先には、固定網、固定ブロードバンド網、携帯電話網を超えた新しい協業体制が確立され、通信料もますます下がっていくことが期待される。すなわち、iPhoneの発売は、日本の通信サービスのビジネス構造を根底から変えていく可能性を秘めているのである。iPhoneの登場で、閉鎖的だった通信キャリア同士のサービスが一気に崩れていくことを、筆者は大いに期待しているのである。