ケータイサービスにおける課金・認証プラットフォームに

 わが国において、この端末にどれだけ魅力を感じ購入するユーザーがいるかは、発売が開始されるまで未知数ではあるが、少なくとも既存の日本のケータイに不満を感じているユーザーはiPhoneに興味を示すことだろう。

 それだけではない。端末の魅力だけにとどまらず、iPhoneはケータイサービスにおける「課金・認証プラットフォーム」として一役買うことになる。

 2006年10月に、わが国でも「ナンバーポータビリティー」が始まり、電話番号そのままに通信キャリアを乗り換えることができるサービスが始まった。ところが蓋を開けてみると、移行できるのは電話番号のみであり、メールアドレスや有料コンテンツの契約内容は全く移行が不可能だった。正直なところ、これは通信キャリアの努力不足だ。あるいは、通信キャリア同士がお互いの利益を守るため、「ナンバーポータビリティー」を魅力ないサービスに仕立て上げたのかもしれない。

 しかしながら、こんなわが国の中だけの閉鎖的なサービスがいつまでも続くわけはない。ここでついにアップルが口火を切ってくれたのである。アップルは、iPhoneをプラットフォームとして、独自にコンテンツ流通が可能となる「App Store」の提供開始を公表している。これは、iPhone上で動作するコンテンツやアプリケーション等を提供するプラットフォームが、iPhone 3Gの発売と同時にサービス開始されるということだ。

 すなわち、これまでわが国では、NTTドコモの「iモード」、KDDIの「EZweb」といった、通信キャリアの中で閉じていたコンテンツサービスに準じるものを、アップル自ら提供し、しかもそれを世界中共通で提供していこうとしているのである。ゲームなどのコンテンツを提供するプロバイダーにとっては、アップル向けに新たにコンテンツ提供を行うことで、これまで日本国内に限定されていたビジネスが、一気に世界に広がっていくのである。単にコンテンツを提供するだけにとどまらず、iモードやEZwebと同様に、有料コンテンツの回収代行もアップルがやってくれるのである(ただし、公表されている情報によれば、アップルの手数料は30%となる。NTTドコモやKDDIなど国内の通信キャリアはこれまで手数料が約9%であった)。