ネタ元はやっぱり都市伝説!

 問題は、動画がどのように製作されたかだ。いちばん嘘くさいのは、どの動画も豆がはじけた瞬間と、ポップコーンが落ちて来る間の映像が途切れていること。しかし、なぜ豆がはじけるのかは映像からでは分からない。

問題の動画でポップコーンがはじける瞬間を1コマずつ分解してみた。描いたようにも見えるが決定的な証拠は見つからなかった

 この動画は海外でも話題になった。「Wired.com」では「Physicist Debunks Cellphone Popcorn Viral Videos」という記事で取り上げられ、あり得ないと結論づけられている。

 物理学的に考えてもできるわけがないのだが、都市伝説に詳しい人なら、「ああ、またこのネタかよ」と思い至ったかもしれない。実はこのネタ、都市伝説の百科事典「Snopes.com」の「Oeuf the Wall」にも掲載されているのだ。

Oeuf the Wall(壁卵 off the wallのダジャレ)
Claim: An egg (or popcorn) can be cooked by placing it between two activated cell phones. (主張:稼働中のケータイに挟むことで、卵またはポップコーンが調理できる。)
Status: False. (真偽:偽)

 今回の動画も、以前取り上げたナマの豚肉にコーラをかけると……ネットにはびこるインチキ動画を追うと同じ種類の話だろう。「YouTube」にアップロードされる動画には、「世界に広がる“かめはめ波”!『YouTube』でお手軽SFX」のように、編集されたものも多い。

 インターネットで公開されている情報を利用する人には、嘘を嘘と見抜くリテラシー(能力)が求められる。文章もそうだし、写真も、そして動画もということだ。そうした点で、今回のケータイポップコーンはよい教材になったと言える。

著者

佐藤 信正(さとう のぶまさ)

テクニカルライター。1957年東京生まれ。国際基督教大学卒業後、同大学院で言語学を学ぶ。小学生のときにアマチュア無線技士を免許をとり、無線機からワンボード・マイコンへ興味を移す。また初代アスキーネットからのネットワーカー。通信機器や半導体設計分野のテクニカルライターからパソコン分野へ。休刊中の「日経クリック」で10年間Q&Aも担当していた。著書「Ajax実用テクニック」「JScriptハンドブック」「ブラウザのしくみ」など。