わが国のブランドコラボケータイの実情

フェラーリとコラボレーションしたVodafone 902SH Ferrari(日本未発売)。筆者はイタリアで680ユーロ(約10万円)で入手(画像クリックで拡大)

 さて、これまでわが国にも多数のブランドとのコラボレーションによる限定モデルなどが多数発売されてきた。たとえば、かつてはツーカーやボーダフォンからフェラーリとコラボレーションしたモデルが発売されたことがあったし、昨年はNTTドコモが DOLCE&GABBANA とコラボレーションした「M702iS DOLCE&GABBANA」も発売している。

 これらのモデルも確かに世界の著名ブランドが冠された「ブランドコラボケータイ」といえるのだが、端末開発の背景は大きく異なる。すなわち、従来わが国で登場したブランドコラボケータイは、結局は既存発売モデルをベースに、ブランドロゴを冠し、オリジナルのカラーリングによって差別化を図った商品でしかなかったのだ。

 ところが、今回発売される「PRADA Phone by LG(L852i)」は、既存発売モデルベースに作られたものとは異なり、あくまでもファッションブランドのPRADAと端末メーカーであるLG電子が共同で開発したオリジナル端末なのである。ちなみにファッションブランド主導でオリジナルのケータイを商品化した例は、世界に目を向ければこの他にもいくつか存在する。

 ところがわが国では、これまでこういった端末が発売されたり、あるいは発売されたとしても成功する土壌が無かった。というのは、わが国ではケータイ端末は通信事業者主導でラインアップが計画されるというビジネスモデルであったため、端末の出荷や販売価格が通信事業者によって大きくコントロールされてていた。とくに「加入契約数を増やす」ということが大前提のビジネスモデルであるため、高額な端末をラインアップすることよりも「廉価で高機能な端末を中心に商品展開」することが主眼となっていた。端末製造におけるコストダウンが徹底され、ラインアップ数は多くても、どれも似通った端末ばかりになってしまうのはこれが要因だった。

 このような事情のため、ブランドの価値を付加させたがために端末価格が高くなるような商品というのは日本の市場においては成り立たなかった。また、ファッションブランド側がケータイ端末の開発を独自に企画したとしても、通信事業者側を納得させるための理由や、販売目標が明確にならない限り、発売にたどり着くことはなかった。こういう理由から、わが国ではブランドによるオリジナルケータイが積極的に展開されてこなかったのである。