鞄(カバン)の生産高日本一を誇る兵庫県豊岡市。円山川周辺の荒地に生息するコリヤナギを籠状に編む杞柳細工から鞄作りが始まり、現在では大手メーカー製のほとんどが豊岡市で生産されている。その豊岡市に“カバンストリート”といわれる一角があり、そこでひときわファッショナブルな建物が鞄ブランド「ARTPHERE(アートフィアー)」のショップである。

 そのプロデューサーである由利佳一郎氏は、「“スケッチ”という大人の目的旅のための鞄ブランド」としてアートフィアーを設立。奇抜なデザインと機能的なつくり、伝統の中で育まれたしっかりとした縫製と品質は各方面から注目され、2005年、ハリウッドでも有名な特殊メークアップアーティスト、スクリーミング・マッド・ジョージ氏とコラボレーションした鞄が話題になった。2006年には「グッドデザインひょうご 日常生活部門賞」を受賞、翌2007年には、ドラマ「オトコの子育て」(朝日放送とテレビ朝日の共同制作)のアイテムにも採用された。

 「豊岡市から世界基準の鞄を発信したい」と語る由利氏に、伝統的な鞄業界とデジタルの融合について聞いた。

ARTPHEREとは?

――ブランド名の「ARTPHERE(アートフィアー)」とは、どういう意味なのでしょうか?

 Art(アート)+Atmosphere(アトモスフィアー)の造語で、アートな気分やアートな雰囲気で旅や趣味、仕事、人生をエンジョイしてもらいたいという意味です。

ARTPHEREのショップに飾られている独特なデザインの鞄(画像クリックで拡大)

F4ダレスバッグで「グッドデザインひょうご 日常生活部門賞」受賞時のトロフィーが、ショップに飾られている(画像クリックで拡大)

古い町並みの豊岡市の中に、打ちっぱなしのコンクリートのショップは異彩を放つ。営業時間の看板やロゴマークもいたってシンプル(画像クリックで拡大)

由利佳一郎氏(画像クリックで拡大)

――鞄のコンセプトは、絵を描く方、スケッチをなさる方を対象にしているようですが?

 ブランドを立ち上げるにあたって、マーケティングをして決めました。元々OEM(他社ブランドの製品を製造する企業)でしたので鞄を作る技術についてのノウハウは持っていたのですが、自分たちでブランドを作って、それをプロモーションしていくという考えはなかったんですね。それで、どこを狙っていけば、世間の認知が上がっていくかを考えました。絞り込みをしたところ、画材鞄の類は、デザインや機能性が未開発だったのです。