チベット暴動の夜、なぜかGoogleが沈黙した

 3月16日夜7時半ごろ「突然、Googleが使えなくなった」という報告がいくつかのブログや「Twitter」にポツポツと現れだした。「2ちゃんねる」の掲示板にもスレッドもいくつか立てられた。通信障害はそれから2時間ほど続いた。

 その2日前の14日にも「Google」で障害の前兆はあったが、16日の夜が深刻だった。何が起きたのか。特定プロバイダーのユーザーだけが「Google」に接続できないのか(結果的にはそうだった)。「Google」のサーバーに問題が起きたのか。DNSと呼ばれるアドレス管理の仕組みに障害が発生したのか。ネットにいろいろ状況報告が上げられ、はっきりとした原因は究明できていないものの、特定のDNSに障害が起きたのではないかということになった。

 が、同時にもう1つ、別の角度から疑問が発生した。なぜ、この時期にそんな障害が起きたのかということだ。

 あくまでも"うわさ"だが、中国政府による通信規制が原因なのではないかという説がある。16日の夜は、ちょうどチベットで騒乱が起きている最中だったのだ。確かに、チベットで暴動が起きたことをきっかけに、中国政府は中国国内からグーグル傘下の「YouTube」へのアクセスを規制していた。

 それがなぜ、日本国内の「Google」へのアクセスに影響するのだろうか。実は以前、パキスタンでの通信規制が同様の障害を招いたことがあったのだ。パキスタン政府による「YouTube」へのアクセス規制の概要についても簡単に触れておこう。

 米国時間の2月24日、世界の大半で「YouTube」が利用不能になるという事態が発生した。障害の時間は正味40分ほどだったが、これほどまでに大規模な障害はインターネット史上初めてのことだったので、世界中で大騒ぎになった。きっかけは、パキスタン政府が自身に都合の悪い情報を閲覧できないようにするために、パキスタン国内から「YouTube」へのアクセスを規制したことだった。

 規制が適切に実施されていたらパキスタン一国の問題で済んだはずなのだが、なんらかの理由でその規制が全世界に波及した。パキスタン政府の依頼を受けたパキスタン・テレコムが情報を取り違え、さらにそれを受けた香港拠点のプロバイダーが間違ったアクセス規制を全世界にまき散らしたらしい。

 こうした背景があったため、16日夜の「Google」の障害も、中国が出した通信規制の伝達ミスが疑われたのだった。

BBCニュースの技術系ブログ「dot.life」のエントリー「YouTube and Pakistan - how did it happen?」では、パキスタン政府による「YouTube」へのアクセス規制がなぜ全世界に波及したかについて推測している