撮影中にも気づいたことだが、シャドー部の描写は厳しい。かなり明るめに露出を設定しないと、暗部の質感が出ない。もともとニコンのデジタル一眼レフカメラは、ハイライトが飛びやすい傾向にあり、ダイナミックレンジは決して広くない。となると、コントラストの強い被写体をISO6400で記録すると、シャドーを生かそうとした場合は、ハイライトを犠牲にしなくてはいけないケースが出てくるだろう。見ていただければ分かるが、動画では「写真表現の可能性を変える」とまで、はしゃいでしまった筆者だったが、パソコンで画像を確認して、少しトーンダウンすべきだと思い直した。

ISO400なら、かなり拡大しても描写力に問題はない。A3サイズにプリント出力しても楽しめるだろう(画像クリックで拡大)

締めの1カット。筆者がお気に入りの1枚となった。キヤノンに比べて、露出はシビアだが、決まったときの美しさは追随を許さない(画像クリックで拡大)

 もちろん、ISO6400で狙うべき被写体は存在する。特に動きの激しいスポーツ、それも室内や夜間の競技に威力を発揮するのは間違いない。すでにスポーツカメラマンの何人かが北京オリンピックに向けて、機材をキヤノンのEOS-1Dsのシリーズから、ニコンのD3へ切り替えている。ただし、暗部のディテール描写に難点があることを考えると、かなりシビアな露出が必要となり、デジタルカメラならではの「後で何とかなる」が通じなくなるのは確かだ。

 さかのぼること、十数年。筆者は各地のサーキットでモータースポーツを撮影していた。記録するのはポジフイルム。露出の許容範囲が狭く、空模様を眺めては幾度となく露出条件を変えていた。ニコンのD3は、撮影に職人的な勘が必要だった昔を思い起こさせるのだ。確かにノイズの少ないISO6400モードの登場で、写真の表現は変革のときを迎えるだろう。ただし、成功するためには、デジタルでなまった腕を鍛え直すことが必要なのだ。

(寺尾 豊=BPtv

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