ネットでのバッシングがマスコミのバッシングを呼んだ

 不思議なことに、放送があった30日から31日にかけて、倖田の"羊水発言"に着目したブロガーは、私がサーチした範囲では存在していない。ユーザー数が40万人を超える「はてなダイアリー」の日記でも引っかからなかった。"火付け"と思われる書き込みがあった「2チャンネル」ですら、スレッド内ではほとんどスルーされている。倖田バッシングを意図したアクションがなければ、この騒動はここまで話題にはならなかったのかもしれない。

 それが今回のような大問題に発展したのは、マスメディアが取り上げ出したからだ。倖田の発言がニュースになったのは、放送から60時間近くたった2月1日の午後。「Yahoo!ニュース」の履歴によれば、2月1日15時に配信された「J-CASTニュース」の「『35歳でお母さんの羊水が腐る』 倖田トンデモ発言に批判」が最初のようだ。

 2ちゃんねるでも「羊水よりこいつの頭が腐ってるんじゃねーの?」「どうやってもかばいきれない発言だろ」といった批判のコメントが相次ぎ、なかば「祭り」状態にまで発展している。

 倖田さんが所属する事務所は、1月31日はJ-CASTニュースに対し「事実かどうか確かめる」としていた。2月1日は「対応を協議中」としている。
(2008/2/1 「J-CASTニュース」より一部引用)

 この記事に関する「J-CASTニュース」の情報元は「2ちゃんねる」と「Yahoo!知恵袋」の書き込み。これは推測だが、倖田來未バッシングのための"意図的な"書き込みが"祭り"としてマスメディアで報道されたことで、本当の"祭り"になっていったのではないだろうか。さらに、新聞各紙がこれを報道したのは翌2日、倖田が公式サイトに謝罪文を載せた後。発言から時間がたち過ぎているせいか、倖田の失言そのものを指摘するのではなく、失言によってネットでたたかれていることを伝える形になっている。

 倖田を擁護することはとうていできないが、うがった見方をすれば、アンチ倖田派(?)のネットユーザーがバッシングの材料を「2ちゃんねる」にばら撒き、マスメディアがそれに乗せられたようにも見える。2月7日にはフジテレビ系「FNNスーパーニュース」にVTR出演し、涙ながらに謝罪した倖田だが、ラジオ収録から随分たってからの降ってわいたようなバッシングに自分の過ちを気づかされ、戸惑っているのではないだろうか。

公式サイトには倖田の謝罪文が載せられている。最近は失態を演じた有名人が自身のブログや公式サイトで謝罪するというのもパターンになってきた

著者

佐藤 信正(さとう のぶまさ)

テクニカルライター。1957年東京生まれ。国際基督教大学卒業後、同大学院で言語学を学ぶ。小学生のときにアマチュア無線技士を免許をとり、無線機からワンボード・マイコンへ興味を移す。また初代アスキーネットからのネットワーカー。通信機器や半導体設計分野のテクニカルライターからパソコン分野へ。休刊中の「日経クリック」で10年間Q&Aも担当していた。著書「Ajax実用テクニック」「JScriptハンドブック」「ブラウザのしくみ」など。