480psの出力を誇るNISSAN GT-R。スピードリミッターを解除すれば、最高速度は310km/hに到達するという(画像クリックで拡大)

 今回は、12月6日に新発売された「NISSAN GT-R」を取り上げる。日産がGT-Rの発表に当たって掲げたのは、「誰でも、どこでも、どんな時でも、安心して高性能なスーパーカーライフが楽しめる」というコンセプト。GT-Rはそれを実現した、新次元の「マルチパフォーマンス・スーパーカー」なのだという。

 その技術的スペックを見れば、確かに世界に類のない“スーパーカー”だと言えよう。最高出力353kW (480ps)/最大トルク588Nm(60kgm)の新開発3.8リットルV型6気筒ツインターボ・エンジン、トランスアクスル方式のセミオートマチック・トランスミッション+4輪駆動システム、310km/hの最高速など、素晴らしい内容である。

 特に、世界で初めてクラッチとトランスミッション、トランスファーを車両後方に置き、リヤデフと一体化させた「独立型トランスアクスル4WD」は優れモノである。トランスミッションを後方に置く「トランスアクスル」の後輪駆動車は、これまでにも数多く存在した。しかしクラッチに加えて、4輪駆動車でパワーを前輪と後輪に配分する「トランスファー」までリヤに配したのは、NISSAN GT-Rが初めてだ。

フロント(左側)にエンジン、リヤにトランスミッション(変速機)を搭載する「トランスアクスル」方式を採用。重たいエンジンとトランスミッションを前後に分離して、重量配分を向上させるためのレイアウトだ(画像クリックで拡大)

トランスミッション部のアップ。エンジン(右側)からの駆動力は奥側のプロペラシャフトで、デュアルクラッチを経て変速機に伝えられる。さらに一部の駆動力は、トランスファーを経て手前のプロペラシャフトで前輪に伝えられる(画像クリックで拡大)

 またトランスミッションは、クラッチを油圧で自動操作する2ペダルのデュアルクラッチ6速セミATを搭載。フォルクスワーゲンの「DSG」に類似した形式で、変速時のパワー切れを最小限に抑えながら、誰にでも高速のシフトチェンジが可能だ。こちらも世界のトップレベルのもので、こうした技術面では文句の付けようがない。

 しかし、NISSAN GT-Rを“スーパーカー”と呼ぶのには違和感がある。「フェラーリ」や「ランボルギーニ」などのように、世間でスーパーカーとして認知されているクルマには、たとえ止まっているときでもオーナーの所有感を満たすような、エキゾチックなスタイリングを持っている。

 また「ポルシェ911」のように、1960年代から続くデザインを受け継いでスタンダード化し、古典としての美しさを醸し出したクルマもある。これらに対してNISSAN GT-Rは、かつてのスカイラインGT-Rのイメージをうまく昇華・継承できず、それでいて新しい世代を感じさせるデザインも作り出せていないのだ。

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