市民の肥満が社会問題となっているアメリカでは、その反動からでしょうか、健康や食生活に敏感な人も多いのが実情。ことに栄養素に関しては、アメリカ人は過敏なほどチェックを入れます。シリアル一箱買うのにも、含まれる糖分の量を調べたり(ウォール家ではダンナから教え込まれて、娘たちが必ずやっている)、

 「○○という食品に含まれる○○という成分は……」

 なんて知識も妙に豊富。ここ数年話題になったモノといえば、緑茶(エピガロカテキンガレート)、大豆(イソフラボン)、ざくろ(ポリフェノール)。あー、やっぱりどこの国でも抗酸化物質ってグッとくるキーワードなんでしょうかね(笑)?

 ところで、アメリカ人が気を使うのは上記以外にももうひとつあります。それは「水分補給」。「1日グラス8杯の水を飲む」のが健康維持に欠かせないとして、ミネラルウォーターなどをゴクゴクやってます。それこそ体の調子が悪いのは、まず水分不足だと思う人も多いようで、ウォール真木の義理の妹も、私が、

 「今日はエクササイズしても、体のキレが悪くってさぁ」

 なんて話を振れば、必ず

 「ちゃんと水飲んだの? 水は!?」

 と厳しくチェックしてくるくらいです(笑)。

 もちろんこの意識は、アメリカでのボトル入りウォーターの売り上げに大きく影響しています。過去10年で3倍以上に拡大したこの市場は、年間総額60億ドルもの売り上げがあるとか。

 そのボトル入りウォーターの人気にさらなる拍車をかけたのが、ここ数年注目されている「フレーバー・ウォーター」と呼ばれる製品。カロリー・ゼロの水なのですが、そこに果物の味や甘み(人口甘味料)が加わっているというモノです。「ソーダ」や「ジュース」といった糖分が高い不健康な飲み物とは一線を置き、あくまで味付き「飲料水」だというのが健康志向の消費者に魅力なのです。

こんな風にスティック状になって売られている、ボトル・ウォーター用のフレーバー粉末。この「Propel」という製品は、ビタミンなども添加されているフィットネス専用の飲料水ですが、従来の「スポーツ・ドリンク」と違い、カロリーがほとんどありません(画像クリックで拡大)

 さらに最近では、無味のボトル・ウォーターに加えて味付けするパウダーも登場。小さい筒状の袋に入っていて、持ち運びも楽ってことで人気に。

 そしてこの「フレーバー・ウォーター」市場に、最近究極な製品が登場しました。なんと、水道の蛇口に取り付けるフィルターに「味付け」機能が付いてしまったのです。水道をひねっただけでフルーツ味になったお水が楽しめるという、ものぐさ……じゃなかった合理的なアメリカ人のためにあるかのような製品です。しかし、この味付き水で間違ってお料理なんかしないように気をつけないとね(笑)。

こちら、「PUR」社が販売している、フレーバリング機能付きの水道水フィルター。フレーバー専用のカートリッジを取り付けると、約75杯のドリンクができるそう(画像クリックで拡大)

著者

クローニン真木(くろーにん まき)

 海外生活が人生の半分を超えてしまった、主婦&看護師兼ライター。日本人アイデンティティーを保持していると信じつつも、近年めっきり周囲からは否定されつつある。現在2児の母で子育てに奮闘しつつ、Narinari.comで執筆を展開。著書に「アメリカの弁護士は救急車を追いかける―アメリカの不思議なジョーシキ114」(宝島社文庫)。現在、月刊誌「この映画がすごい!」(宝島社)、「TOEIC Test プラス・マガジン」(リント)などに記事を提供している。日経トレンディネットでは以前に「アメリカ在住ミセス・マキのUSA『お茶の間』通信」を連載。