2003年に第1作が発売され、独特の世界観とやりこみ要素がコアユーザーのハートをがっちりキャッチ。その後、口コミでジワジワと人気が高まり、一躍ヒット作の仲間入りを果たした『魔界戦記ディスガイア』。

 第1回目となる今回は、シリーズの生みの親である日本一ソフトウェアの新川宗平氏のインタビューを通して『ディスガイア』シリーズの誕生秘話とその歴史を振り返る。

新川宗平(にいかわ・そうへい)
日本一ソフトウェア 取締役 エンターテインメント事業部部長。1996年に同社入社後、数多くのゲームソフト開発に携わる。代表作は『魔界戦記ディスガイア』シリーズ、『マール王国の人形姫』シリーズなど。(画像クリックで拡大)

――『魔界戦記ディスガイア』というゲームはどういった経緯から誕生したのでしょうか?

新川氏:かなりさかのぼることになるんですが、PSの時代に『マール王国の人形姫』というストーリーやキャラクターなど世界観を重視したRPGを作りました。このシリーズを3作手がけ、その後新作としてシミュレーションRPG(SRPG)に挑戦したのが『ラ・ピュセル 光の聖女伝説』です。ストーリー重視だった前作に比べて、ゲーム性を高めてみようということになり、ストーリー性とゲーム性を50%ずつに割り振ってみたんですね。これが発売後、『マール王国』シリーズよりも高い評価を得まして、ユーザーはゲーム性の高いものを求めているんだなということが分かったわけです。そこで次回作はもっとゲーム性に特化したものをという話になり、『ディスガイア』を制作しました。日本一ソフトウェアの作ってきたゲームの積み重ねと、ユーザーの声を反映させた結果として『ディスガイア』は誕生した、そう考えていますね。

――「やりこみ要素」という発想にたどりついたのは?

新川氏:日本一ソフトウェアのモットーとして「ゲームは作品ではなく商品である」という言葉があるんですが、商品というからにはユーザーに喜んでいただいてナンボだという考えなんです。少しでも多くのユーザーに、少しでも長く楽しんでもらおうと考えて、あれもこれもと要素を入れていったのが最終的に「やりこみ」という言葉になった。つまりは結果論だと思っています。初めから次は「やりこみ」と話をしていたわけではないんですよ。

キャラクターレベルは最大9999、さらに育成を繰り返すことで7ケタ以上のステータス数値に達することも。プレーヤー次第で100時間、200時間でも遊びこめる世界が用意されている
(C)2006 NIPPON ICHI SOFTWARE INC.(画像クリックで拡大)

――「やりこみ要素」の参考にしたゲームはありますか?

新川氏:SRPGという根底の部分は他社の歴代の名作を参考にしましたが、『ディスガイア』を面白くしていこうという付加価値の部分に関しては、あまり何かを参考にしたというのはありません。むしろ他社がやらないようなこと、バカなことも含めて本気でやっちゃおうよという発想ですね。

――舞台が魔界で主人公が悪魔という設定もその発想からですか?

新川氏:制作スタッフ達が“普通はつまらないよね”という考えのメンバーばかりだったのもあります(笑)。あと、ゲームシステム重視で作るとなると、ストーリー的な制限は少なければ少ないほどやりやすいんですね。だったら「魔界が舞台だったら何やってもいいよね」というところに行き着きました。この「魔界」が舞台という点だけは最初に決めて、あとは各担当者がやりたいアイデアやネタを持ち寄って、それを詰め込んでまとめていくことで制作していきましたね。

『1』の主人公・ラハール。魔王の一人息子で横暴かつわがまま、自己中心的と、主人公らしからぬキャラクター設定だ。魔界を舞台にしたストーリーも予想がつかない展開の連続で笑いを禁じえない
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