夏の暑さの「暑い」という字、年々「熱い」に変わってきてるんじゃないだろうか? 21世紀も7年目を迎え、度合いを増しつつある酷暑の中、つくづくそう思わずにはいられない。今年の夏は、ありがたいことに平年並の暑さで迎えられるらしいという予報だが(7月末現在)、まだまだ油断大敵。

 昔の人は、夏の暑さに対抗して音で涼しさを演出しようと、風鈴なんてものを編み出したのだという。ならば、その知恵にならって、今回は酷暑を音で涼しくする「夏のロック名曲」を大人のロック的なセンスで選んでみた。

チャド&ジェレミー「サマー・ソング(A Summer Song)」(1964年)

 夏の朝。そろそろ温度計の目盛りが25℃を超えようとする頃におすすめしたい抜群の1曲。60年代のイギリスで、ピーター&ゴードンの対抗馬的な人気を誇った男性デュオ。さわやかなハーモニーで、夏の木陰を思わせる涼しさを演出してくれる。64年全米7位。

チャド&ジェレミーの「サマー・ソング」は『The Sunshine Collection』というアルバムに収録されている(画像クリックで拡大)

マンゴ・ジェリー「イン・ザ・サマー・タイム(In The Summer Time)」(1970年)

 気温はぐんぐん上昇し、30℃を超えたお昼頃に最適。照りつける太陽にイライラするけれど、ランチの冷やし中華に生ビールも付けて(まだ勤務中だけど)。こういう時はリラックスして馬鹿話でもするのが一番! そんな気分にピッタリな宴会ソング系の名曲。ビール会社の宣伝担当者の皆様も、この曲、要チェックです! 70年全英1位。

マンゴ・ジェリーのデビューシングル「イン・ザ・サマー・タイム」は『Tonight Show-Sound of Summer』というアルバムの収録曲(画像クリックで拡大)

シールズ&クロフツ「想い出のサマー・ブリーズ(Summer Breeze)」(1972年)

 体感温度は相変わらず高いけど、生温かい風が吹き始めて、流れる汗を冷たく感じさせる昼下がりをイメージした名曲。70年代の名シンガー・ソングライター・デュオ、シールズ&クロフツがヒットさせたこの曲には、アイズレー・ブラザース、日本のGreat3のカバーもある。ゆったりと夕暮れの気配が漂い始めた街を音で、たそがれ色に染めてゆく。72年全米6位。

70年代を代表する男性デュオ、シールズ&クロフツの「想い出のサマー・ブリーズ」はアルバム『Traces』に収録されている(画像クリックで拡大)

スタイル・カウンシル「ロング・ホット・サマー(Long Hot Summer)」(1983年)

 ポール・ウェラーが率いたスタイル・カウンシルのヒット曲。夜も更けて、耳を澄ませば、都会でも蝉の鳴き声が聞こえてくる。そんな熱帯夜をしっとりと表現したエイティーズ版大人のロックだ。83年全英3位。

「ロング・ホット・サマー」は、スタイル・カウンシルのベスト盤「The Style Council:Greatest Hits」に収録(画像クリックで拡大)

クリフ・リチャード「サマー・ホリデイ(Summer Holiday)」(1963年)

 最後は、先日の来日公演も大盛況だったイギリスを代表するスーパースター、クリフにおまかせ。もうすぐやって来るお盆休み(つまり、サマー・ホリデー)をこの曲でイメトレしながら、真夏の夜の夢でも見るとするか! 63年全英1位。

「クリフ・リチャードの「サマー・ホリデイ」は、1989年発売の『Cliff Richard:40 Golden Greats』に収録されている(画像クリックで拡大)

 今回ご紹介した曲は、すべて「iTunes Store」にて1曲150円で購入可能。

筆者紹介 松永良平(まつなが・りょうへい)
1968年生まれ。大学入学のため上京後、少年時代より憧れていたレコード店勤務を開始。大学卒業後、友人たちと立ち上げた音楽雑誌「リズム&ペンシル」がきっかけで執筆活動を開始。現在は渋谷のハイファイ・レコード・ストア勤務のかたわら、「大人のロック!」「レコード・コレクターズ」「ミュージック・マガジン」「CDジャーナル」「クイック・ジャパン」など、古今東西を問わず好奇心旺盛に音楽原稿執筆中。CDのライナー・ノーツも多数執筆。レコード買い付けのため、年に数回渡米する。翻訳業も手がけ、2004年には初の翻訳小説「レッド・ダート・マリファナ」(国書刊行会)を出版。2007年5月末、単行本「20世紀グレーテスト・ヒッツ」を音楽出版社より発売。