ビデオカメラ用のiVDRカードは互換性も確保

増田: 新しい規格として「iVDRカード」を検討している、とのことですが、その内容とは?

西田氏: 「iVDRカード」は、1.8インチHDD対応で、既に規格化されている1.8インチの「iVDR mini」よりもコンパクトなリムーバブルHDDです。今年中にiVDRカードの規格化を済ませ、来年には製品化したいと考えています。

増田: iVDRカードは、ビデオカメラ用のメディアと考えていいのでしょうか?

西田氏: iVDRの応用範囲を広げることが目的ですが、主にビデオカメラ用途を想定しています。1.8インチHDDに対応したiVDR miniという規格がありますが、これはビデオカメラ用としては、やや大きめです。実際に複数のカムコーダーのメーカーから「iVDR miniより一回りコンパクトなリムーバブルHDDが欲しい」という要望をいただきました。こうした経緯でiVDRカードの規格化を決定した次第です。

記録メディアにiVDR miniを採用した中国・国際精華の業務用ビデオカメラ「DDC-280M」。iVDRスロットを2基搭載する(画像クリックで拡大) 【拡大表示は画像をクリック】

 

増田: iVDRカードは一回りコンパクトということですが、他のiVDRとどこまで互換性があるのでしょうか?

西田氏: iVDRカードのインターフェースはほかのiVDRと同じシリアルATAで、接続コネクターの形もほかと同じです。カートリッジのサイズだけ小さいので、アダプターに入れることで“ゲタ”を履かせて、iVDR標準スロットにも着脱できるようにしたいと考えています。アダプターは単にサイズアップのための容器で、信号線の変換は不要です。昔流に言えば、ビデオカメラ用の「VHS-Cカセット」をアダプターに入れてビデオデッキで再生するような仕組みですね。

増田: それは旧来のAVファンには分かりやすいたとえですね(笑) iVDRカードはどのような特徴を持ったメディアになるのでしょう?

西田氏: 一般のHDDが使用可能な温度は、摂氏5度から55度、気圧は標高3000メートルまで、となっています。これに対してiVDRカードは、スキー場などでもカメラ撮りできるように、氷点下の温度にも対応させたい。また高所登山でも使えるように標高5000メートル対応のメディアも作りたい、という案もあります。まだアイデアの段階ですが、これらの条件をクリアすることは現在の技術で十分に可能です。

増田: 1インチHDD対応の「iVDR micro」という規格がありますが、これは暫定規格のままですか? やはりこのクラスだと、メモリーカードやSSD(Solid State Disk:半導体ディスク)との棲み分けが難しいのでしょうか。

西田氏: iVDR microは暫定規格となっていますが、1インチHDDは、近い将来にコストパフォーマンスでメモリーカードなどと競合することになるでしょう。とはいえ、1インチHDDには、書き換え可能な回数が多いことや、フラッシュメモリーよりも書き換え速度が早いこと、録画メディアとして扱いやすいサイズであることなど、メモリーカードにはないメリットもあります。端的に言って、小さなメモリーカードの表面には録画内容を書けませんし、なくしてしまいそうですよね(笑) ですので、HDDの利点を生かす用途があれば規格化したいと考えています。

日立マクセルのiVDR-Sカセット「ハードディスク アイヴィ(iV)」のサンプル。メモリーカードに比べて大きいが、表面に録画コンテンツのタイトルなどを書けるので、録画メディアとしては扱いやすい(画像クリックで拡大) 【拡大表示は画像をクリック】

 


3.5インチiVDR-S+HDDケースでリムーバブル化も可能に

増田: 2.5インチHDDを搭載したiVDR-S標準カセットは現状で160GBと80GBですが、大容量のハイビジョンをストリーム録画するためには、もうワンランク上の容量が欲しく思えます。その意味で、超大容量な3.5インチHDDが使えたら、と思うのですが、3.5インチHDDのリムーバブル化の予定はあるのでしょうか?

西田氏: 3.5インチHDDについては、機器の内蔵固定用にiVDR built-inという規格を作りました。iVDR built-inは裸のHDDでパーツ扱いですが、これをリムーバブル化できる道も残してあります。iVDRコンソーシアムでは、iVDR built-inをメディアボックス(HDDケース)に入れて外付けで使うことを許可しています。サイズ的にiVDR 標準スロットに直接挿せないので、アダプターとケーブルで接続することになり、これも規格で許すことにしました。iVDR built-inは、現在250GBと500GBを用意していますが、最新の3.5インチ1TB HDDでも対応が可能です。

日立製作所「Wooo XR01/HR01シリーズ」に採用されている内蔵タイプの「iVDR-S built-in」(画像クリックで拡大) 【拡大表示は画像をクリック】

 

増田: iVDR built-inのメディアボックスは、PC自作派ならすぐに組み立てられそうですね。ヘビーな録画ファンにも最適に思えますが、バルクのiVDR built-inや専用コネクターケーブルを入手できるのでしょうか?

日立マクセル グローバル営業統括本部 営業企画本部 山下伊智朗部長代理(画像クリックで拡大)

山下氏: iVDR built-inは裸のHDDパーツですので、メディアとして販売する予定は現在ありません。3.5インチHDDは超大容量が魅力ですが、ボックスに入れて、専用ケーブルで接続するというのは敷居が高くて、おっしゃるように、ヘビーユーザー専用になると思います。ただ、そうした方々のためにパーツとして販売する会社も出てくるかもしれません。

増田: iVDRセミナーで行われた中国の国際精華社の展示では、メモリーカードアダプター型のiVDRカセットも紹介されていましたが、これは御社からも販売されるのでしょうか?

山下氏: 弊社では今のところメモリーカードアダプター型の発売予定はありませんが、ユーザーニーズをよく見て検討していきたいと思います。