今年ネットで話題になった言葉は?

 12月も中旬。今年を振り返るキーワードが選ばれる時期になった。このネタ、昨年も書いたっけ。そうそう。「『萌え属性』『ツンデレ』『テラワロス』…このキーワード、いくつわかる?」がそれ。ということはコラムも1年続いたということになる。読者のみなさんありがとうございました。

 さて今年1年、ネット界のキーワードは……と、昨年のコラムをテンプレにして、「はてなダイアリーキーワード」から選ばれた「『現代用語の基礎知識2006』掲載キーワード発表」をのぞいてみる。「オリキ」「推しメン」「ヲタ芸」「DD」「お菓子系」「全ステ」「大パ」「『たん』」「カトキ立ち」「ラッキースケベ」……全然知らないぞ。

 そしてアレがあるはずだ、アレ、「姉は一級建築士」。選に漏れたのだろうか。それと、「ようつべ」はどうした。

キーワードとなった「姉は一級建築士」にはかわいいロゴまである


なんと言っても注目のキーワードは「スルーカ」

 しかし、Web 2.0時代を迎え、これから最も重要なキーワードとなるのは「スルーカ」だろう。絶対にそうだ。読みは「するーか」。あるは「するーりょく」または「するーりき」と読まれることもある。これは、物事をやり過ごしたり、見てみぬフリをしたりすることを表す「スルー(する)」に、能力を示す「力」を組み合わせた言葉で、本来なら無視できない問題をどれだけやり過ごせるかという能力を指している。同じような組み合わせの言葉に、98年の流行語大賞を取った「老人力」なんてのがあったなぁ。

 グーグル的には「スルーカ(するーか)」が約2万件。これに対して「スルー力(するーりょく)」は約51万6000件と圧倒的に「するーりょく」が多い。

 本当はどっちなんだろう?

 などと考えてしまった方はまだまだ「スルー力」が足りない。そういうすごく気になることを「ま、どっちでもいいか」と思える能力が「スルー力」なのだ。

「するーか」(上)と「するーりょく」(下)。その違いは……文字を拡大しても分かりづらい


Web 2.0を支える情報対応能力が「スルー力」なのだ

 発端は、ブログ「いやなブログ」で10月に発表された「スルー力 カンファレンス (スルカン) 開催決定!」である。ある事情からスルカンは開催中止となってしまったのだが、その重要性は急速に認知されていった。

 「スルーカ」の広がりを決定的にしたのは誰あろう、Web 2.0の教祖・梅田望夫氏である。ネットの世界で“もっちー”と言ったら持田香織じゃなくてこの人である。彼のブログ「My Life Between Silicon Valley and Japan」のコラム「スルー力(りょく)の重要性」がそれだ。

 いずれにせよ、こういう「スルー力」というような、軽いノリでの共通言語ができて重い話題を気軽に議論できるのは、けっこう重要なことかもしれないと思ったのだ。 「人生の大半の問題はスルー力で解決する」
高林哲の名言かもしれない。

 Web 2.0に関連するあまりに重要な提言ということもあり、「はてなブックマーク」の登録数も150を超えた。この話題、とてもじゃないが“スルー”するわけにはいかない。Perlエバンジェリスト小飼弾さんも、ブログ「404 Blog Not Found」で「『スルー力』をスルーできない」としていた。

 というわけで、ちょっと冗談っぽく今ネットで話題の「スルーカ」を紹介してみたが、情報が多くなればその優先順位が重要になるわけで、どうしても優先順位の低い情報はスルーしないと処理しきれない。そういう時代になってきているのは確かだ。

筆者紹介 佐藤 信正(さとう・のぶまさ)
テクニカルライター。1957年東京生まれ。国際基督教大学卒業後、同大学院で言語学を学ぶ。小学生のときにアマチュア無線技士を免許をとり、無線機からワンボード・マイコンへ興味を移す。また初代アスキーネットからのネットワーカー。通信機器や半導体設計分野のテクニカルライターからパソコン分野へ。休刊中の「日経クリック」で10年間Q&Aも担当していた。著書「Ajax実用テクニック」「JScriptハンドブック」「ブラウザのしくみ」など。

著者

佐藤 信正(さとう のぶまさ)

テクニカルライター。1957年東京生まれ。国際基督教大学卒業後、同大学院で言語学を学ぶ。小学生のときにアマチュア無線技士を免許をとり、無線機からワンボード・マイコンへ興味を移す。また初代アスキーネットからのネットワーカー。通信機器や半導体設計分野のテクニカルライターからパソコン分野へ。休刊中の「日経クリック」で10年間Q&Aも担当していた。著書「Ajax実用テクニック」「JScriptハンドブック」「ブラウザのしくみ」など。