2006年7月1日から、新しくデジタルコンテンツ制作部を立ち上げたテレビ東京。今後ワンセグでどのような戦略をしかけていくのか、メディア事業推進本部 デジタル事業推進局 デジタルコンテンツ制作部の横銭秀一部長に話を伺った。

――テレビ東京がデジタルコンテンツへの取り組みを開始させたのは、いつごろからでしょうか。

テレビ東京 メディア事業推進本部 デジタル事業推進局 デジタルコンテンツ制作部 部長
横銭秀一氏

横銭氏:スタートは、地上デジタル放送が始まってからです。私がいるデジタルコンテンツ制作部はまだ新しく、今年7月1日に発足したばかりです。ここでは今までバラバラに行っていた、ワンセグ・12セグ(地デジ)の放送を一つにまとめる役割を果たしています。

 ワンセグのコンテンツ開発は現在、ある程度“終わりの段階”にきています。これからはコンテンツを検証し、収益をいかに確保するかを検討する時期です。デジタルコンテンツはまだまだ投資の部分が大きく、2008年のワンセグのサイマル放送終了に向けて、事業性・収益性を検証している状況ですね。

――ワンセグによるビジネスモデルはいつごろに出来上がるのでしょうか。

横銭氏:2008年以前に構築したいとは考えています。問題は、今までの業界の“掟”をどこまで破れるかという点ですね。テレビ局にとってCMの広告収入は柱です。これを崩すモデルは当然できません。

 インターネット上では広告バナーが混在するのが当たり前ですが、テレビ業界では他社の製品が混在することはありえません。ワンセグ放送も同じです。例えばデータ放送でスポンサー以外の製品を表示するといったことは、将来にわたってもやってはいけないことなのです。

 そのため、新しい収益モデルを考える必要が出てきました。収益性のある事業は簡単に起こせますが、それが我々の幹である広告収入を食ってはいけません。新しいビジネスモデルが今までのモデルを壊さないか、その検証が現在最も重要になっています。

――収益モデルの一つとしては、ワンセグのデータ放送から携帯サイトに誘導するといった手法もありますよね。

横銭氏:もちろんあります。しかしテレビには「時間枠」があり、それぞれ別のスポンサーがついています。時間枠を越えてデータ放送を流すことはできませんから、誘導できる時間も放送内に限られてしまうのです。またテレビマンの心情としては、やっぱり番組を見てもらうことが命なんですね。それなのに番組を消して(ワンセグケータイから携帯サイトに移動すれば、ワンセグ放送が見られなくなってしまう)携帯サイトに飛ぶとは何事だ、と思う部分も少なからずあるわけです。

 ただしワンセグは帯域が限られており、表示できる情報量に制限があります。そのため携帯サイトに飛ばないと、広告主のニーズに応えられないこともあるでしょう。そこで制作側にもデータ放送に限界があることを理解してもらい、我々自身も変わっていかなければなりません。ゆくゆくはワンセグがテレビと違う“別メディア”になるようにしたいのですが、それには相当な額の投資が必要になります。コストを差し引いても収益が上がる構造を、2008年までに何とかして考えなければなりません。

筆者紹介 ひよりみ びびり
ペット可アパートでAIBOを飼う、ロボットと科学大好きライター。目下ハマッているのはカメラ。水中写真にもチャレンジ中。