前回の「UHF?それとも別物?…そもそも『地デジ対応アンテナ』ってなにが違うの?」では、UHFのすべての周波数をカバーするオールバンド対応のアンテナなら、現状の環境でも地デジが受信できる可能性があることが分かった。

 今回は「地デジは映るが、ノイズが出る」「映るチャンネルと映らないチャンネルがある」といった、電波の受信状況を改善する「ブースター」について、前回と同じく日本アンテナのテレビ電子機器営業部 営業二課の皆川隆課長に話を伺った。


デジタル放送に「ブースター」は必要か?

――まずブースターの役割について教えてください。

皆川課長:ブースターはアンテナで受信した電波を増幅するパーツです。電波が弱い地域での受信だけでなく、戸建てなどで、複数の部屋にアンテナ線を配線する場合も使用します。テレビの信号はアンテナとテレビを接続するケーブルが長くなるほど弱くなるので、それを補うためにも使われます。

今回も地デジアンテナとブースターについて詳しく教えてくださった、日本アンテナ・テレビ電子機器営業部 営業二課の皆川隆課長

――デジタル放送はノイズに強いのがメリットですよね? ですから「デジタル放送にブースターは不要では?」という疑問もあります。デジタル放送でのブースターの必要性について教えてください。

皆川課長:デジタル放送でも、電波が弱い場合はやはりブースターが必要になります。アナログ放送は電波の受信レベルが下がると、画面にザラツキ(スノーノイズ)などが発生します。画面は見づらいのですが、放送を見られないわけではありません。

 一方、デジタル放送はノイズには強いのですが、電波のレベルが下がると、画面が劣化するのではなく、画面自体が映らなくなります。画面が汚くても見ることのできたアナログ放送に比べ、デジタル放送こそブースターが重要なパーツと言えるでしょう。

アナログ放送の場合は電波が弱いと映像全体に“雪”のようなチラチラしたノイズが入る(左画像)。デジタル放送は、ギリギリの受信状態で受信すると画面がモザイクのようになる「ブロックノイズ」が発生する(右画像)。さらに感度が落ちると表示自体がされなくなる

――Sデスク宅のアンテナ工事では屋外にブースターを付けていました。店頭には屋内用のコンパクトなブースターも見かけます。機能や性能に違いはあるのでしょうか?

皆川課長:ブースターにはアンテナのすぐ近くで受信電波を増幅する「屋外型ブースター」と、ブーストが必要なテレビ機器の近くで使う「卓上型ブースター」があります。まず屋外型ブースターから説明しましょう。

 屋外用のブースターは戸建てで使用します。アンテナに最も近い場所で電波を増幅し、屋内へ配信します。“ホームブースター”というタイプを選べば、混合器としての機能も備えているので、VHF(地上アナログ)、UHF(地上アナログ、地上デジタル)、BS・110度CSデジタル放送を1本のケーブルにまとめて屋内を配線できます。

アンテナのすぐ近くに設置する屋外型ブースター。“ホームブースター”は混合器としての機能も備えるので、複数のアンテナ線を1本にまとめて屋内配線できる。テレビパソコンなどに接続する場合は、地上アナログ、地上デジタル、BS・110度CSデジタルをそれぞれ分ける「分波器」を使用する

皆川課長:注意したいのは、例えば横浜エリアのように「地デジは東京タワー、地アナログのUHFは横浜ランドマークタワー」といった具合に、UHFアンテナを2本設置する場合です。その場合はホームブースターにつなぐ前に、2本あるUHFのアンテナ線を「UHF・UHF混合機」で、一本のケーブルにまとめなければいけません。

地上デジタル放送と従来のアナログUHFを放送する放送塔の位置が違う場合は、UHFアンテナを2本設置することになる。その場合は「UHF・UHF混合器」が必要。UHF・UHF混合機は、地上デジタル放送で使用する電波と地上アナログ放送で使用する周波数が重複しないように整理して、電波を混合する。そのため「東京用」「大阪用」など設置場所にあった製品をチョイスする必要がある

――もし、それでも屋内で複数のテレビなどに分配して電波が弱くなってしまったら、卓上型ブースターで補えばいいのでしょうか?

皆川課長:それはやらない方がいいでしょう。屋外ブースターと屋内ブースターを併用すると、ノイズが発生する原因になります。通常は屋外型ブースターだけでまかなえます。もしそれでも満足ができないなら、アンテナを追加するしかありません。

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