ある日唐突に届いた1通の封書。中に入っていたのは、地上デジタル放送(地デジ)の移行手続きにかかるデジタル放送接続料の請求書だった――。

 送りつけられた封書。その正体は、昨年末から全国各地で報告されている詐欺(さぎ)の手口である。身に覚えの無いサービスの利用料をだまし取る「架空請求詐欺」の一つで、2011年7月24日に地上テレビ放送が全面デジタル化に移行するのに目を付けた、いわゆる“地デジ詐欺”だ。

ある日突然届く請求書。実在する会社、団体名を語るものもあるため、見た目では本物か偽物か判断がつきにくい


架空請求の相談比率はまだ高い、今度はシニア層が狙われている!

 架空請求詐欺というと、アダルトサイトの利用手数料という身に覚えのありそうで無さそうな……微妙な男の心理を巧みに付いたものとして登場してきた。その後、架空請求詐欺は「オレオレ詐欺」など、ネット以外の手段を使った「振り込め詐欺」へと拡大。一躍社会問題として各メディアが大きく取り上げたことは、記憶に新しいところである。

 “オレオレ詐欺”という言葉こそ最近聞かなくなったが、架空請求詐欺自体は無くなったわけではない。より巧妙な手口へと進化し、いまだに多く人が被害に遭っている。この1つが「地デジ詐欺」というわけだ。

 国民生活センターが公表した近年の架空詐欺実態についての報告書によると、2000年度に1万5000件だった架空請求詐欺に関する相談件数が、2003年度には48万件に急増。2004年度には67万件に達した。オレオレ詐欺が横行した時期が、まさにこの年だ。

 メディアの報道によって詐欺の手口が広く知れ渡った2005年度には、一気に25万件へと減少している。しかし、架空請求に関する相談は全相談件数のうち5分の1以上を占めるなど、いまだ高い相談件数を誇っているという(下記図1参照)。

架空請求詐欺の相談件数を示したグラフ。この数年で急激に増加したことがうかがえる(国民生活センターのホームページより)

 被害者の年齢構成を見ていくと、ここ数年でガラリと詐欺対象が変わったことがうかがえる。2003年度には30代が約4割を占めていたが、20005年度では60代以上のシニア層が3割近く占めるまでに急増した。実社会でシニアをターゲットにした高額商品が次々に登場してきているように、架空請求詐欺もその対象をシニアへと変えつつあるということだろうか(下記図2、3参照)。

架空請求詐欺の被害者の年齢構成。2005年から60歳以上の被害者の割合が急増しているのがよく分かる。テレビは自宅にいることの多い年配者にとって最大の娯楽なだけに、地デジ詐欺には十分気を付けたい(国民生活センターのホームページより)

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