どんなことでもインターネットでサーチ&ゴー!

 私はインターネットに頼りすぎかもしれない。

 曲の歌詞? 天気予報? ニュース? 必要なものは全て指先にある。胆のうの機能っていったい何なの? エストニアってどこだっけ? メキシコ中で見かける「ファエナ」ってモンサント社のGM穀物? 家にいながらにして調べられる。旅情報、チケット手配、宿泊アレンジ? もう、今や旅行代理店も必要ない。昔、私を裏切ったあいつ。人探し? グーグルしちゃえばいいのだ。えーと、日本語で“delirious”ってどう言うんだっけ? ノープロブレム! ちょっと待って。あった。意識混濁状態だった。退屈? 何もすることがない? インターネット接続が必要ね。

 インターネットは私の世界への接続なのだ。中南米の小さなインディオの村を探すのも、中央カリフォルニアの牧場物件も、ザンジバルの映像制作スタッフも、撮影に協力してくれる新宿のバーも、なんでもかんでも時間さえあれば、素晴らしきワールドワイドウェブで見つけることができる。

 私のようなコントロールフリークには実に開放的だ。自分でアレンジして決められる。家族や友人の意見に頼らなくても、私にぴったりの歯科医からブーツまで簡単にサーチできてしまうのだ。

 東京で忙しく年中無休で働いていた頃には天からのタイムセーバーだった。DJの仕事に必要なアーティスト情報、世界のヒットチャート、面白ネタや音楽ダウンロード……映像プロデューサーの仕事で必要なスタッフ、アイデア、人脈など。ウェブは欠かせない存在となった。


知識のヒエラルキーを突き崩すインターネット

 ポスト仕事中毒人間の今、旅人、アーティスト、プー太郎の今、インターネットへの依存は増す一方だ。

 世界中、どんな小さな村にもどこかしらにはインターネットがある。例えば、ここ数年の冬を過ごしているメキシコの漁村には本屋なんて1件もないがインターネットカフェは10件くらいある。イケメン俳優ガエル・ガルシア・ベルナルそっくりの(だけどオタクの)お兄さんが経営する店が私のお気に入りだ。

 オレンジや紫にペインティングされた壁に囲まれ、私は仲間とのコネクションを失うことなくメールし合ったり、ナレーションのファイルをアップロードしたり、原稿を送ったりしている。終わると「グラシアス! アスタ・マニャーナ!(また明日ね)」と挨拶するのだが、ガエル君は目線を合わせずに「アディオス」と言うだけだ。

 インターネットさえあれば、どんな辺境にいてもさほど遠くに来ているという感覚もない。旅で知り合った近代ジプシーたちもソーラーパネル付きのキャンピングカーで暮らしているが、屋根の上にはパラボラが。「テレビ? 違うわよ。インターネット用」と彼らは笑って言う。「電話がなくても平気だけど、インターネットがないとね。本当にアウト・オブ・タッチになっちゃうから」

 最高なのは接続費以外はほぼフリー(無料)で、しかもフリー(自由)だ。ウェブのアナーキーなところが大好き!

 知識が権力なら、インターネットは権力のヒエラルキーを崩している。パワー・トゥ・ザ・ピープル! パワー・トゥ・ザ・インターネット・ピープル!

つづく

筆者紹介 キャロル久末(きゃろる・ひさすえ)
 DJ、コラムニスト。1958年東京生まれ。国際基督教大学卒業後、ジャーナリストとして国際誌および日本の英文誌に執筆。J-WAVE、interFMなどFMラジオのDJをはじめ、コラムニスト、映像プロデューサー、インタビュアー等、多方面で活躍。現在は新たな挑戦を目指し、ラジオのレギュラーは休業中。旅と冒険とアートの日々を満喫している。