2009年7月22日。この日、日本全国で壮大な天体ショーが繰り広げられる。日食だ。特に鹿児島県の薩南諸島では、悪石(あくせき)島などトカラ列島を中心に、北は屋久島・種子島から南は奄美大島まで、皆既日食が観測できるとあって、大きな注目を集めている。何しろ皆既日食が日本で観測できるのは実に46年ぶりだそうで、僕の人生においても初体験となる。次回は26年後だというから、場合によっては人生最初で最後になるかもしれないわけだ。そんな世紀の一大イベントを、ウン十万円という高額なツアーに参加しなくても、それこそ自宅のベランダで観測できるのだから、こんな幸運なことはない。
日食ムードが徐々に盛り上がりを見せる一方、かつてない規模の観光客を受け入れることになる各島々の行政は、ライフラインをはじめとする環境整備など、その対応策に追われている。ここ屋久島でも、町や商工会などで組織する「皆既日食屋久島町対策協議会」が、7月19日から25日までの期間は入島者数を制限しようと、船便と宿泊の予約管理を一元的に行なっているが、受け入れ可能人数の4500人を大きく上回る、“延べ”9000人近い応募があったという。どうやら1人で複数申し込んでいるケースが散見されたようで、実質的な応募者数は不明だが、いずれにしてもかなりのフィーバーぶりといえる。すでに抽選は終えているが、大きな混乱が起きないことを祈るばかりだ。
世紀の天体ショーを3カ月後に控えたある週末、「皆既日食レクチャー in 安房(あんぼう)」なる催しが、我が子らの通う安房小学校で行なわれた。島内で自然体験セミナーや環境学習などを実施している「屋久島環境文化研修センター」が主催するもので、日食に関するレクチャーをはじめ、日食観察用のメガネづくりや望遠鏡を使った太陽の観察会もあるというので、家族そろって参加した。
受付を済ませて体育館に入ると、誰でも無料で参加できるとあって、安房小の児童を中心に、老若男女問わず、地元地域の天文ファン(?)が詰めかけていた。レクチャーは日食の起こる仕組みから始まり、日食の種類(部分日食、金環日食、皆既日食)や実際に見られる現象(ダイヤモンドリング、コロナ、プロミネンス……)など、スライドを使って分かりやすく展開。我が子らは初めて聞く「太陽の神秘」に興味津々で、僕もかつての理科の授業を受けているようで何だか懐かしく、いつの間にか聞き入っていた。





