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我が家に帰り着いたら、早速収穫したつわんこの下ごしらえに取りかかる。1本1本、茎の表皮をむかなければならず、これが地道で面倒な作業なのだ。素手でむくと時間がかかる上、指が赤紫色に染まって何日も落ちなくて厄介なのだが、今回は妻が「カミソリでそぎ落とす」という、至ってシンプルな方法を友人から教わったらしく、これによって格段に能率が上がった。とはいえ、1本ずつ作業をしなければならないことに変わりはない。妻がカミソリで皮をそぎ落としたら、娘がハサミで根元と葉を切り落としていくという、母娘の共同作業が小一時間ほど続いた。

そしてこの日の食卓には、「豚肉とつわんこの甘辛煮」が並んだ。

「どれどれ……。うん、うまいっ!」

自分たちで収穫したものは、その日の晩にビールと一緒にいただくのが最高で、この上ない幸せな気持ちになる。

「ほんとだ! おいしいね」

娘も自らの手で引っこ抜き、そして下ごしらえしたつわんこを、おいしそうに頬張った。一方息子はというと、収穫の喜びが伴っていないせいか、あるいは友達の家でおやつを食べてきたからか、採れたての味覚に感動する様子もなく、あまり口にしていなかった。自然の恵みを存分に堪能するには、やはり自分の手で収穫するのが一番だ。屋久島では、ぼちぼちタケノコが旬を迎えつつある。今度は息子を連れて、「たけんこ狩り」に繰り出すとしよう。

菊池 淑廣(きくち・よしひろ)

1969年、東京生まれ。1993年にスポーツウェアメーカーに入社。一貫して広告宣伝の仕事に携わり、自ら撮影、コピーライト、デザイン制作までマルチにこなす。

2005年4月、家族共々屋久島へ移住。それと同時に広告事務所「屋久島メッセンジャー」を設立し、雑誌やウェブサイトなどを通じて屋久島の情報を発信しながら、広告プランニング、撮影、コピーライト、ロケ・コーディネートなど、幅広く活動している。著書に「屋久島で暮らす あるサラリーマンの移住奮闘記」(山と溪谷社)。

ブログ「フォトライター菊池の屋久島移住ライブ日記」も公開中。

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