「次も点を決めてくるからね。ちゃんと見てろよ」
「次の試合もフォワードなの?」
「多分ね。お前と同じポジションで頑張ってくるよ」
息子に技術的なことは教えられなくても、ゴールに対する執念とか貪欲さとか、そういったメンタル面の重要さを伝えることはできるはずだ。そう思って臨んだ2試合目と3試合目では、いずれも泥臭いゴールを1点ずつ決め、チームは2勝1分で最終戦に臨むことになった。相手は3連勝しているが、勝てば僕たちの優勝だ。しかも、通算3得点の僕には、なんと得点王獲得の可能性もあるらしかった。しかしながら、最終戦では幾度となくゴール前でチャンスが生まれるも、最後の最後までイメージと体の動きはちぐはぐなまま噛み合うことはなく、この試合で僕がゴールネットを揺らすことはなかった。結果は1対1の引き分けで準優勝。得点王も1得点差で逃してしまった。
その日の夕方、大したことはないと思っていた右足の痛みが、筋肉痛とともにみるみる増幅していった。歩くこともままならず、靴をはこうとするだけで骨にひびくような激痛が走る。しばらく安静にして様子を見ていたのだが、1週間以上経っても痛みが引かないので、息子を病院に連れていったついでに、僕も診察してもらった。骨に異常があるわけではなかったが、キーパーと激突したあのときに、かなりの衝撃が膝下の関節に加わったらしく、痛みが取れるまでは、もう少し時間がかかるということだった。
息子の不運な骨折に続いて、父親もけがに見舞われた親子サッカー。息子と一緒にプレーすることはできなかったが、皮肉にも病院では、あれから2週間が過ぎた今も、親子並んで治療を受けている。果たして父親のけがを代償に、息子は何かを得てくれただろうか……。






