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静寂の縄文杉

2009年2月23日

屋久島は南国といえども、山頂帯は例年11月下旬には初雪が観測され、2月ごろまで深い雪に閉ざされる。標高約1300メートルに位置する縄文杉周辺も雪に覆われ、訪れるにはアイゼン等それなりの雪山装備が必要となる。島の象徴ともいえる縄文杉になかなか行けないとなれば、わざわざこの時期に来島する観光客は少なく、山はひっそりと本来の姿を取り戻す。

この冬は、年末から1月中旬にかけてぐっと冷え込み、僕の住む船行(ふなゆき)集落では毎日のようにあられが降りつけ、いつになく寒い日が続いた。ところがそれ以降は、打って変わって最高気温が20度前後を行ったり来たりする日が続き、特に2月は平年の気温を大きく上回り、山に降り積もった雪も一気に融けてしまうほどの暖冬となった。

そんなある日、仕事で久しぶりに縄文杉を訪れることになった。当日はどういうわけか、その日だけ狙い澄ましたかのようにぐっと冷え込み、久しぶりに寒い朝を迎えた。5時半過ぎに登山口へやってくると、この時期にしては思ったよりも登山客が多く、駐車場にはすでに10台ほどクルマが止まっていた。とはいえ、ゴールデンウィークの時期ともなれば、1日に1000人以上が押し寄せることもあるわけだから、それに比べれば至って穏やかな光景といえる。

朝食を済ませ、寒さでこわばる体をほぐしてから、夜の明けきらない森の中を、ヘッドランプの明かりを頼りに歩き始める。山の空気は一段と冷たく、気温はおそらく2〜3度くらいだろうか。トロッコ道のゴツゴツした感触を足裏で確かめながら歩いているうちに、30分ほどで空が白んできた。次第に見慣れた風景が展開し、何を考えるともなく、淡々と同じリズムで歩を刻んでいく。こうしてどこまでも続くトロッコ道をひたすら歩いていると、不思議と心が研ぎ澄まされていくような、心地よい感覚が訪れる。

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