「今年の正月はどうしようか?」
「そうねぇ……。子供が小さいうちは、できるだけ両親に孫の顔を見せてあげたいしね」
「そうだなぁ」
僕たち一家は移住して最初の正月こそ帰省しなかったが、昨年はクルマを引き取りに、一昨年は我が子らの七五三を兼ねて東京に里帰りした。高額な交通費をかけてせっかく東京へ行くのだから、「プラスアルファ」の用事を兼ねないともったいない。今回はそのような用事は別段なかったのだが、妻の言う通り孫の顔を見せに行くことそのものが、今の僕たちにできる最大の親孝行かもしれず、離れて暮らしていることに対するせめてもの償いでもある。
「今年も東京へ行こうか?」
「ホントっ!? そしたら私、ミスドに行きたい!」
「オレはマック!」
そんな僕たちの思いなど知るはずもなく、我が子らはふたりとも真っ先に、屋久島では味わえない「都会の味」を欲した。
「いつ行くの?」
「お父さんはついでに仕事したいからひと足先に行くけど、お前たちは終業式の次の日にお母さんと一緒においで」
年末年始の時期は、一般的な日程で往復すると、一家4人分の交通費だけで30万円を超えてしまう。海外へ行くのに匹敵するほどの旅費がかかってしまうのは離島に暮らす宿命だが、割引運賃が適用される期間に合わせてスケジュールを調整できるのは、フリーランスの特権だ。とはいえ、コストを優先すると約2週間という長期の旅程を組まざるを得ず、子供たちは冬休みのほとんどを東京で過ごすことになった。





