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秋色纏う、屋久杉の古老

2008年12月1日

11月も半ばになると、屋久島もだいぶ秋らしい空気感が漂うようになった。毎年この時期になると、山の上の紅葉が気になっては、森を歩きに行きたくなる。ところが今年の紅葉は少しばかり遅れ気味のようで、南国のささやかな秋を楽しむにはまだ早そうだ。それでもわずかな期待を抱きつつ、どこかよさそうな森がないかと地図を眺めていると、標高1300メートル付近のある場所に目が留まった。

屋久杉の古老、大和杉

「大和杉かぁ……」

それはヤクスギランドから奥岳方面へと続く花之江河(はなのえご)歩道沿いにある屋久杉で、僕はまだ一度も訪れたことがない。樹齢3000〜4000年といわれ、縄文杉の樹齢については諸説あるが、2170年という科学的根拠に基づく説を前提とすれば、現在確認されている屋久杉の中では最古老ともいえる。また、一般の登山者はほとんど足を踏み入れないルートにあるので、静かな森歩きが期待できる。たとえ森が色づいていなくとも、十分に魅力的なコースだ。こうして訪れる先を決めたあと、たまたま友人も一緒に行くことになり、ある晴れた日にヤクスギランドへと向かった。

「さすがに上は涼しいですねぇ」

友人の言うとおり、クルマを降りると、ひんやりした空気が全身にまつわりついてきた。

「ホントだ。思ったより寒いね」

ヤクスギランド入口の標高は約1000メートル。海岸部より気温が6度低い計算になるが、体感的にはそれ以上に寒い印象だ。ケガをしないよう念入りにストレッチを施すと、朝の凛として静まり返った森に踏み入った。

空気感こそ秋の訪れを思わせるものの、いつもとさほど変わらない森の風景がしばらく続く。一方、今回は植物に詳しい友人が一緒とあって、僕はここぞとばかりに様々な質問を投げかけながら、いつもとは違った森歩きを楽しむ。所々で植物談議に花を咲かせつつ小一時間ほど歩き、一段と冷たい空気が漂う沢に出合うと、苔むした石の上に落ち葉が散りばめられている場所があった。決して美しい色合いではないものの、かすかな秋の気配に胸が高鳴る。

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