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南国で ひと足早い 秋の味覚

2008年10月14日

「ギンナン、もう落ちてましたよ」

9月の中旬に差しかかったころ、島の南西部の栗生(くりお)集落に住む友人からそんな情報が入った。東京でさえギンナン独特のにおいが街に漂い始めるのは、秋がぐっと深まってからだ。にもかかわらず、まだまだ夏らしさの漂う屋久島で、早くもギンナンが収穫できるというのだ。

そもそも屋久島にはイチョウの木が少なく、いくつかの神社や学校で見かける程度。我が家の近くの船行神社にもイチョウの木はあるのだが、残念ながら実をつけることはない。イチョウは「雌雄異株(しゆういしゅ)」といって雄株と雌株があり、実であるギンナンをつけるのは雌株のみ。どうやら屋久島でギンナンのなるイチョウは栗生にある一本だけのようで、そこ以外の場所でギンナンを拾ったという話は聞いたことがない。

そんなこともあってか、島の人はギンナンを食べる習慣があまりないらしく、栗生の友人は「誰も拾わないから臭くて仕方がない」とこぼす。僕にとってギンナンは以前から酒の肴として上位にランキングする好物のひとつ。誰も拾わないのはあまりにもったいない。とはいえ、それだけのために栗生まで往復約70キロの距離を走るのは、あまりに効率が悪い。友人の第一報からしばらく考えあぐねていたのだが、約1週間後にたまたま仕事で栗生方面へ行く用事ができた。東京ではギンナンは「早い者勝ち」で、2〜3日もすれば誰かに拾われてしまうところだが、屋久島ではそんな心配は必要なさそうだ。しかも台風13号が屋久島を直撃したあとだっただけに、さらに実が落ちていることも期待できる。

「明日、栗生にギンナン拾いに行かないか?」

その日は土曜日だったので、子供たちも一緒に連れていこうと誘ってみた。

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