再びシーカヤックに乗り込み、まだ見えてこない屋久島灯台を目指す。海にそそり立つ照葉樹の森を見上げ、水平線に浮かぶ口永良部島を眺めながら、ベタ凪の大海原をのんびりと漕ぎ進む。何とも爽快な気分に浸っていると、いよいよ永田岬の突端に建つ白亜の灯台が見えてきた。次第に近づき、灯台を見上げる位置までやってきたとき、岬を境に海面がにわかに波立った。灯台から海を眺めるだけでは波の境目など気にもならないが、カヤックの上だとダイレクトにそれが伝わってくる。

「やっぱりこの辺は上陸できそうもないねぇ。とりあえず引き返して、砂浜にでも上陸してランチにしようか」
野元さんの言うとおり、島の中でも西部は特に険しい断崖が続く場所。わずかでも上陸できそうなポイントは見当たらない。僕としてはランチよりもその先の風景が見たくて、もっともっと漕ぎ続けたかったが、残念ながら岬を回り込んだところで引き返すことになった。
往路はとにかく興奮と感動の連続だったが、復路はゆったりした時間とのんびりした空間を味わうようにして、波のまにまに漂いながら気ままなパドリングで漕ぎ進む。そして出発した漁港を通り過ぎると、その先に広がる「前浜」と呼ばれるビーチに約2時間半ぶりに上陸した。誰一人いない白砂のビーチが1キロほど続く、素敵な場所だ。ここもウミガメが産卵に訪れる浜で、この時期はまだ孵化していない卵が埋まっている可能性がある。





