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シーカヤック・ツーリング(前編)

2008年9月29日

「シーカヤックを漕ぎながら、屋久島を海から眺めてみたい」

以前から僕は、ひそかにそんな思いを抱いていた。カヤックで川を巡ることはあっても、屋久島の海を漕いだことは一度もない。川面から見上げる島の風景も素晴らしいが、シーカヤックで海面から見上げるそれは、もっと爽快で壮観に違いない。とはいえ、僕はシーカヤックを所有していないので、自力でそれを実現することはできない。この島のまだ見ぬ風景に思いを馳せながら、あくまで「人任せ」による成就を期待していた。

9月半ばのある日、思いがけずそのチャンスが訪れた。鹿児島市に在住するカヤッカーの友人と一緒に、ある大学の研修ツアーを屋久島で実施する機会があり、それが終わったらシーカヤックで遊びに連れていってくれるというのだ。その友人というのは、世界の海を漕ぎ渡る冒険家で、その陽気なキャラクターから「お笑い冒険家」の異名もとる野元尚巳さん。カヤックガイドを本職としながら、テレビやラジオに出演したり、講演会を行なったりと、幅広く活躍している人物だ。野元さんとは、僕がサラリーマン時代からの付き合いで、屋久島に移住してからは同じ鹿児島県民として、それまで以上に「近所づきあい」をさせてもらっている。彼となら「お笑いモード」の楽しいツーリングとなるだけでなく、シーカヤック初心者の僕にとっては、「海のプロ」ともいえる野元さんに手ほどきしてもらえるわけで、これ以上贅沢で心強いことはない。

ところが、5日間にわたる研修ツアーが始まると同時に、なんと台風13号が発生。幸か不幸か台風の動きが遅かったため、ツアーそのものに影響はなく無事に終えたものの、プライベート・ツーリングに繰り出せる海況かどうか、僕にはそれが気がかりだった。

「明日、大丈夫ですかね?」

「島の南東は影響がありそうだけど、反対側は大丈夫でしょ。永田の辺りがいいかもね」

野元さんのその言葉に安堵し、ひと仕事終えた解放感も手伝って俄然ワクワクしてきた。

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