夏になると我が家には、毎年カブトムシやクワガタムシが舞い込んでくる。
夜、部屋の明かりに誘引されて、蛾やコガネムシ、カミキリムシなどに交じって飛来するのだ。
ところが今年の屋久島は、春から夏にかけて気温が上がるのがゆっくりだったせいか、6月に入ってもなかなか姿を見せなかった。
昨年の「初飛来」は6月初旬。
飛んできたのはノコギリクワガタのメスだった。
それに対して今年は、6月も終わろうというときにようやく飛来。
やってきたのは例年にたがわず、やはりノコギリクワガタだった。

「昨日の夜、クワガタが飛んできたぞ」
その翌朝、クワガタムシの「初飛来」を息子に報告した。
「うそっ!?」
「うそじゃないよ。とりあえず虫カゴに入れといたから、見てごらん」
「あ、ホントだ! これ、何クワガタ?」
「“ハサミ”が小さいけど、ノコギリのオスだよ」
「飼ってもいい?」
久しぶりのクワガタムシに、息子の“甲虫熱”が再燃したらしい。
「別にいいけど、小さいじゃん、それ」
「でも、いい!」
僕も少年の頃は、昆虫が大好きでいろいろ飼っていたから、息子の気持ちはよく分かる。
さすがにカブトムシやクワガタムシを近所で捕まえた記憶はないが、当時は東京でも虫捕りが楽しめたものだ。
「それより今度、クワガタ捕りに行こうか?」
「えっ! いつ行くの!?」
その誘いに、息子は興奮気味に食いついた。
「今度、学校が休みの日に、天気がよかったらね」
それからその日が訪れたのは、意外にすぐのことだった。




