屋久島は七夕を前にして、例年よりずいぶん早く梅雨明けした。といっても事実上、その一週間ほど前には梅雨明けしていたようなもので、月間降水量が1000ミリを突破した6月から一転、7月に入った途端に一滴も雨の降らない日が続き、すでに真夏のようなギラついた太陽が連日のように照りつけていた。
「お父さん、今日、海に行きたい」
7月に入って最初の土曜日、娘が思い立ったように言ってきた。それもそのはずで、梅雨明けの発表こそないものの、この日も朝から真っ青な夏空が広がり、気温もうなぎ登りにぐんぐん上昇。まさに「海水浴日和」といえる。
「じゃあ夕方、“初泳ぎ”に行こうか」
「やったぁー!」
いつを「初泳ぎ」と定義するかは様々だが、「きちんと水着を着用して泳ぐ」という点においては、今年の初泳ぎはまだだった。ちなみに屋久島では、昼間の日差しがあまりに強いため、島の人は夕方になってから海水浴へ繰り出すことが多い。一方、僕が夕方に行こうと言ったのは、そういう理由からではない。息子の所属する「安房サッカースポーツ少年団(通称、スポ少)」で、夕方5時から「春田浜海水浴場」の清掃美化活動をすることになっていたからだ。原油価格のさらなる高騰で、島のガソリン平均価格は、ついに1リットルあたり200円台に突入。同じ場所をクルマで二往復するのももったいないので、環境面と家計面に配慮して、効率よく一往復で済まそうというわけだ。
1時間も遊べば十分だろうと、午後3時半ごろに一家揃って春田浜へやって来ると、すでに駐車場は一杯だった。屋久島は南の島でありながら、別段海開きが早いわけではない。子供たちが夏休みに入るまでは、更衣室やシャワー、トイレなどの施設は一切使用できないのだが、こう暑い日が続いては、そんなことに構っていられるはずもなかろう。
「入っていい?」
娘は早速水着になると、待ち切れない様子。
「準備体操してからね」
それから娘は何の躊躇(ちゅうちょ)もなく、ザブンと海へ。昔から冷たい水が苦手な僕は、水温を確かめるようにして、足先からゆっくり入る。





