「今度、川エビ捕りに行きませんか? いい場所知ってるんで……」
ある日、友人にエビ捕りに誘われた。昨年の夏は、僕も我が子らを連れて近くの川へエビやら小魚やらを捕りに行ったが、そのときの目的はあくまでも飼育するため。今回はそうではない。食べるためだ。ビールがうまくなるこの季節、素揚げにした川エビは、その肴として極上の部類に入る一品だ。
「今週あたり、都合はどう?」
7月に入って早々、ふと思い立ち、今度は僕のほうから打診してみた。
「じゃあ、今夜はどうですか? 新月で天気もいいから、星空観察もしましょうよ」
「思い立ったが吉日」とばかりに、友人の提案するまま、急きょその日の晩に決行することにした。
午後8時に現地で待ち合わせると、空はまだ群青色の明るみを残し、山並みのシルエットを浮かび上がらせていたが、もはや川の周辺には夜の帳が下りようとしていた。闇夜のエビ捕りは初めてだが、夜のアウトドアフィールドというのは、独特の高揚感を抱かせてくれる。
「そしたら、ぼちぼち始めますか?」
友人の合図でヘッドランプを点け、年甲斐もなくワクワクしながら、ザブザブと川に入っていく。この日の主なターゲットは「テナガエビ」と「スジエビ」。彼らは夜行性なので、日没後が捕獲のチャンスというわけだ。
「水の中にライトを当てると、エビの目に反射して光るんですよ。それを頼りに探すんです」
なるほど、言われた通りに水の中を覗き込むと、小さな点が星を散りばめたように、川底の至るところで赤く光っている。





