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雲上に咲く崇高な花(後編)

2008年6月16日

霧が晴れて重厚感を失い、すっかり軽い雰囲気になってしまった小花之江河(こはなのえご)をあとにすると、ほどなくして再び開けた場所に出た。もうひとつの高層湿原、花之江河だ。眼前に聳える黒味岳(くろみだけ・1831m)の頂は雲に紛れていたが、足早に流れる雲間からは、山肌にポツポツと彩りを添えるヤクシマシャクナゲが見え隠れしていた。

さらに木々に囲まれた細い登山道を淡々と登っていくと、突如として見晴らしのいい大きな花崗岩の上に躍り出た。次の瞬間、猛烈な風にあおられると同時に、白とピンクの集合体が辺り一面に散りばめられた風景が目に飛び込む。ヤクシマシャクナゲの群生するスポット、投石平(なげしだいら)だ。やはり見頃のピークはやや過ぎていたようで、すでに開き切った白い花が目立つ。それでも、山肌を駆け上がるようにして咲き乱れるその様は見応え十分で、風さえなければのんびり過ごしたいところだ。

再び風の当たらない森の中へ逃げ込むと、もっと素敵な風景を求めて、僕はさらに上を目指した。間もなく森林限界を超え、奥岳の山並みを一望できるようになると、“シャクナゲ街道”といわんばかりの華やかな道が、山並みに沿ってどこまでも続く。すでに花弁が痛みかけている株も多かったが、これから満開に向けて咲き誇ろうとしている株もあり、何度も足を止めては、幾度となくその美しさに目を奪われた。

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