「今度、友達と一緒にハイキングへ行こうか?」
春休みも終わろうという頃、息子の幼稚園最後の思い出づくりにと、友人家族とハイキングへ行く提案をしてみた。
「どこへ行くの!?」
「う〜ん、どこにしようかねぇ……」
小学生の娘はともかく、ほかに幼児が3人いるので、近場で比較的安全にアクセスできる、自然の美しいスポットはないものかと考えあぐねた結果、あるリゾートホテルの敷地内を歩いてみようと思いついた。
「滝でも見にいこうか」
「どこの滝?」
「お父さんも行ったことないところ」
「ふ〜ん。迷わない……?」
「迷うようなところじゃないから、大丈夫だよ」
そこはホテルの庭ではあるものの、自然の地形を生かした散歩道はトレッキングを楽しむには十分で、敷地の奥には立派な滝もあるという。僕自身、その滝までは足を延ばしたことがなく、以前からなんとなく気になっていた。
そして迎えた当日。前日に降った雨は上がり、絶好のハイキング日和に恵まれた。友人家族と1台のクルマに乗り合わせると、20分ほどでホテルに到着。
「とりあえず、レストランでランチを食べてから出発しようか」
ホテルの敷地内を歩こうというだけに、さすがにロビーを素通りして庭に出るのは気が引ける。せめてランチだけでもいただいて、正当な権利を得た上でお邪魔しようというわけだ。たまには贅沢なランチも悪くないと思っていたのだが、はしゃぐ子供たちを静めながらでは、その価値を十分に堪能できるはずもなかった。




