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壮大な寄り道

2008年3月25日

3月も下旬に入ると、島は日に日に暖かさを増し、すでに春を通り越して初夏のような陽気が続くようになった。今年は例年に比べて暖かくなるのが少し遅かったが、まるでその分を取り戻すかのような勢いだ。

そんなある日、雨の多い屋久島においては一年に何日もないほどの、穏やかな快晴に恵まれた。

「今日はいい天気ですねぇ。山の上は最高でしょー」

「ホント、今来ている観光客はラッキーやねぇ」

取引先とそんな会話を交わしながら、雲ひとつない山の風景を眺めてはうらめしく思いつつ、僕は仕事で島を回っていた。我が家とはちょうど島の反対側に位置する永田集落まで行く用事もあったので、せめてドライブくらい楽しもうと、久しぶりに島を一周することにした。

永田集落で仕事を済ませると、すでにお昼を回っていた。真っ青な海を目の前にして、真っ白い砂浜の広がる「いなか浜」で弁当を食べると、くっきりとした口永良部(くちのえらぶ)島の見え隠れする西部林道を、クルマの窓を全開にして気持ちよく走る。その辺り一帯は世界自然遺産登録の根拠にもなった、日本最大の原生的な照葉樹林が広がる地域。新緑のシーズンは特に美しく、実に多様な緑がグラデーションを描きながら山を駆け上がっていく。そんな風景が見られるのも、もうじきだ。

結局ドライブだけでは物足りなくなり、ちょっと寄り道をして、世界遺産の森を散歩でもしようと思い立った。適当なスペースを見つけてクルマを止めると、おもむろに森へと踏み入る。木漏れ日の降りそそぐ森の中は、いつ来ても常緑の変わらない風景を見せつつも、明らかに春の空気感を漂わせていた。

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