ファストフードが世にあふれる現代社会。僕たちも東京に暮らしていた頃、それらは生活の一部として身近に存在していた。一方、幸か不幸かここ屋久島には、ハンバーガーショップやファミリーレストランなどのチェーン店は一軒もない。人口が少ない上に輸送コストが高くつく離島では、採算が合わないのも当然の話だ。
そんな島に暮らしてもうすぐ3年。我が子らはもちろん僕たち夫婦も、悲しいかな、ハンバーガーをはじめとするジャンクフードが無性に食べたくなることがある。島にはその類の店がないから致し方ないのだが、食の安全性が問いただされる昨今においては、むしろそのほうが幸せなのかもしれない。
「今度の週末、仕事のリサーチを兼ねてそっちへ行くから」

2月に入って早々、鹿児島本土から友人がやってくることになった。その友人というのは、国内はもちろん世界の海を漕いで回るカヤッカーで、「お笑い冒険家」の異名もとる野元尚巳さん。僕が東京でサラリーマンをしていた頃からのアウトドア仲間だ。
「バーナーを持ってメシでも作りながら、まったり島を回るつもりなんだけど、よければ一緒にどう?」
「あ、いいですねぇ、それ」
そんな話を聞いたら、無性にアウトドア料理が食べたくなった。昨年の夏に家族でキャンプをしたとき以来、手の込んだアウトドア料理は口にしていない。このところ仕事が重なって根を詰めていたこともあり、思い切って仕事を離れてリフレッシュしようと、僕も同行することにした。




