そんな中、注目すべき効果の高い広告媒体がある。それは何かというと、スーパーの窓。レジ精算後に商品をカゴや袋に詰める、あのスペースだ。島内に5〜6軒ほどある比較的大きなスーパーを押さえれば、島民の100%とまではいかなくとも、それに近い驚異的な「接触率」が期待できる。もちろん新聞の折込チラシも効果的な広告媒体のひとつだが、なんといっても「レジ横」の広告枠は“タダ”。というわけで、島内の各スーパーには、島民から観光客まであらゆるターゲットに向けた様々な情報がズラリと並ぶ。僕もイベント告知などで利用させてもらうことがあるが、広告料を支払ってもいいほどの価値は十分にある。
こうした背景があるだけに、島民ではなく主に観光客をターゲットにした、高額な経費のかかる広告を提案する僕の仕事はやりにくいのだが、3シーズン目を迎える今年はぼちぼちと忙しい。忙しいといってもそれは「島時間」を基準にしているだけで、都会の感覚からすれば大したことはないのだが、初年度から比べると状況はずいぶん変わった。屋久島を訪れる観光客が年々増えるにつれ、様々な媒体を通じて情報過多になりつつある現状を背景に、広告に対する認識と期待が高まりつつあるのだろう。そんな中、狭い島社会だからこその「口コミ効果」もあってか、営業をしていないところからも仕事の依頼が来るようになった。
そうなると人間、欲が出るもので、最初に「島のため」とカッコつけてしまったのは誤算だったかもしれず、仕事と売上は大幅に増えても利益が小幅にしか増えないのが、今となっては悩みの種だ。それでも広告をつくる仕事は、僕にとっては社会人としての「ルーツ」であり、最も血の騒ぐ仕事のひとつといえる。儲けは少なくとも、自分の好きな仕事をしながら地元に貢献しているとするならば、こんなビジネススタイルこそが、田舎の島で長く細々とやっていく秘訣なのかもしれない。

「レジ横」の広告枠は大人気





