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そんな中、注目すべき効果の高い広告媒体がある。それは何かというと、スーパーの窓。レジ精算後に商品をカゴや袋に詰める、あのスペースだ。島内に5〜6軒ほどある比較的大きなスーパーを押さえれば、島民の100%とまではいかなくとも、それに近い驚異的な「接触率」が期待できる。もちろん新聞の折込チラシも効果的な広告媒体のひとつだが、なんといっても「レジ横」の広告枠は“タダ”。というわけで、島内の各スーパーには、島民から観光客まであらゆるターゲットに向けた様々な情報がズラリと並ぶ。僕もイベント告知などで利用させてもらうことがあるが、広告料を支払ってもいいほどの価値は十分にある。

こうした背景があるだけに、島民ではなく主に観光客をターゲットにした、高額な経費のかかる広告を提案する僕の仕事はやりにくいのだが、3シーズン目を迎える今年はぼちぼちと忙しい。忙しいといってもそれは「島時間」を基準にしているだけで、都会の感覚からすれば大したことはないのだが、初年度から比べると状況はずいぶん変わった。屋久島を訪れる観光客が年々増えるにつれ、様々な媒体を通じて情報過多になりつつある現状を背景に、広告に対する認識と期待が高まりつつあるのだろう。そんな中、狭い島社会だからこその「口コミ効果」もあってか、営業をしていないところからも仕事の依頼が来るようになった。

そうなると人間、欲が出るもので、最初に「島のため」とカッコつけてしまったのは誤算だったかもしれず、仕事と売上は大幅に増えても利益が小幅にしか増えないのが、今となっては悩みの種だ。それでも広告をつくる仕事は、僕にとっては社会人としての「ルーツ」であり、最も血の騒ぐ仕事のひとつといえる。儲けは少なくとも、自分の好きな仕事をしながら地元に貢献しているとするならば、こんなビジネススタイルこそが、田舎の島で長く細々とやっていく秘訣なのかもしれない。

「レジ横」の広告枠は大人気

菊池 淑廣(きくち・よしひろ)

1969年、東京生まれ。1993年にスポーツウェアメーカーに入社。一貫して広告宣伝の仕事に携わり、自ら撮影、コピーライト、デザイン制作までマルチにこなす。

2005年4月、家族共々屋久島へ移住。それと同時に広告事務所「屋久島メッセンジャー」を設立し、雑誌やウェブサイトなどを通じて屋久島の情報を発信しながら、広告プランニング、撮影、コピーライト、ロケ・コーディネートなど、幅広く活動している。著書に「屋久島で暮らす あるサラリーマンの移住奮闘記」(山と溪谷社)。

ブログ「フォトライター菊池の屋久島移住ライブ日記」も公開中。

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