今さら自己紹介というわけではないが、僕は「フォトライター」として、雑誌やウェブサイトなどの執筆や撮影のほか、ロケ撮影のコーディネートの仕事を中心に活動している。もちろんそれだけでは物足りないので、サラリーマン時代に積み重ねたスキルと人脈を生かして広告代理業も営んでいる。つまり地元企業の広告宣伝業務をサポートしているわけで、言ってみれば「島の小さな広告屋さん」といったところだ。ちなみに、この連載のタイトルにもなっている「屋久島メッセンジャー」というのは、僕が移住して仕事を始める際に掲げた屋号でもあり、世界的なアルピニスト・野口健氏に命名していただいたものだ。

離島で広告の商売といっても難しいのは自明の理で、その点においては儲け云々よりも、島の活性化の一助になればという思いがあって始めたようなものだ。そう言うと聞こえはいいが、サラリーマンを辞めてフリーランスになる以上、自分にできる仕事は何でもやるというスタンスで、収入を積み重ねていく必要があったことも事実だ。いざ始めてみると、やはり都会と違って田舎では広告に先行投資するという感覚に乏しく、1ページ数十万円という雑誌の広告掲載料は、なかなか島の感覚にマッチしないのが現実だ。当初は「よそ者」ということもあり、なおさらのこと広告の取り扱い件数はわずかしかなかった。
それはそれとして、そんな島における広告事情を眺めてみると、なかなか面白い。小さな島社会においては、ターゲットの動向や趣向、さらには一人一人の顔まで見えているから、立てる広告戦略は単純にして明快だ。しかも広告媒体が限られるから、取るべき手段も自ずと決まってくる。島内向けのローカルな雑誌もあるのだが、これに掲載される広告は多いものの、どちらかというと効果を期待してというよりは、付き合い的な意味合いが強いようだ。また、当然ながら屋久島には駅貼や中吊りなどの交通広告媒体はない。強いて言えば空港と港はあるが、利用者の多くは観光客だから、島民をターゲットにした広告の効果は高いとは言えない。

高速船ターミナルの広告スペース(というよりは掲示板……)




