
1月7日。屋久島では毎年この日に、正月を締めくくる伝統行事「鬼火焚き」が各集落で行われる。厄を祓い、その年の無病息災などを祈願する火祭りのひとつで、いわゆる「どんど焼き」などと同じだ。鬼火焚きを経験するのは今年で3度目になるが、この祭りが終わらないと、何となく正月も終わらないような気がするのは、多少とも島の暮らしに馴染んできた証なのかもしれない。
5日に帰省先の東京から島に戻ると、その日の夕方、「明日の朝8時半から鬼火焚きの準備をするので、加勢して欲しい」という旨の集落放送が流れた。
「あれ? 今、“あした”って言ったよね?」
「うん、確かに……」
「鬼火焚きって、毎年決まって7日じゃないのかね……?」
我が家は高台に建つせいか、風向きによっては放送が聞き取りづらい。聞き違えたかとも思ったが、妻も同じように受け取っていたから間違いなさそうだ。いずれにしても5日に帰ってきたのは正解で、とにかく翌朝に集落の広場へ行ってみることにした。
あられ混じりの雨だった昨年とは打って変わって、青空の広がる暖かな朝を迎えた。今年も僕は「竹伐り班」として、孟宗竹を伐りに集落の裏山へ分け入った。
「鬼火焚きって、7日にやるもんじゃないんですか?」
「じゃっと(=そうだよ)。今日は準備だけやど。明日は月曜でみんな仕事だからよ」
なるほど、そういうわけか。船行(ふなゆき)集落に暮らして2年になるが、地元の人にとっては聞くまでもないことでも、僕たちにとってはまだまだ戸惑うことが少なくない。




