「ウチのクルマ、引き取らないか?」
昨秋、僕の父親からそんな提案があった。
「どうしたの? クルマ買換えるの?」
「そうなんだけど、思った以上に下取り価格が安くてさぁ。お前さえよければ、人様に売るよりはいいかと思って……」
クルマは平成16年式ながら、すでに7万キロ以上を走行しているステップワゴンだ。それに対して僕のクルマは、今からちょうど3年前、屋久島へ移住する際に中古で購入した平成11年式のライトエース・ノア。すでに10万キロ近く走っていたため、程度がいい割にはかなりの割安価格で購入した。3年乗って12万キロを超え、2月には車検を控えていたから、買換えのタイミングとしては悪くない。今よりグレードの高いクルマに「家族割」で乗り換えられるとなれば、交通費をかけてでも引き取りに行く価値は充分にある。
「今度の正月は帰省しないつもりだったけど、そういうことなら、家族も連れて一緒に帰ろうかな」
「じゃあ、そのつもりでこっちも準備しておくよ」
そうと決まれば、まずはノアの売却だ。島内に買い手がいれば余計な心配は要らないのだが、業者をはじめ、友人や知人など幅広く声をかけるものの、ガソリン代がバカにならない離島では、普通車はどうしても敬遠されがちだ。また、せっかくカーナビが装備されていても、狭い島では価値がないに等しく、テレビがついていたところで、ほとんど映らないから意味がない。最終的には10万円でも買い手がつかず、金額はどうであれ鹿児島で売却してから東京へ帰ることを余儀なくされた。





