屋久島ではじめてとなる「バイオトイレ」が、登山客の最も多く集中する縄文杉ルートに2基設置され、12月15日に完成式が行われた。屋久島が世界自然遺産に登録されたのは1993年12月。ちょうど14年が経っての“上陸”だ。バイオトイレが導入されるきっかけとなったのは、大手旅行会社から500万円という多額の寄付があったから。地元島民の一人としてありがたく思う一方、周囲の善意に頼らざるを得ないこの島の現状に、僕はなんとなく悲しみにも似た感情にとらわれた。
バイオトイレというのはその名の通り、微生物の力によって屎尿を浄化しようというもの。水洗式でないから水は不要な上、汲み取り式でもないからニオイもほとんどないという。なるほど災害時に威力を発揮するというのもうなずける。
今回導入されたのは、北海道の旭川市に本社を置く「正和電工株式会社」の手掛けるバイオトイレ。聞けば仕組みは至ってシンプルで、製材所などで出る普通の「おがくず」が便槽に入っているだけ。それをヒーターで加熱しながらスクリューで攪拌させてやると、排泄物に含まれるバクテリアが効率よく繁殖し、屎尿を素早く分解してくれる上に、熱によって病原となる大腸菌は死滅するという(関連記事)。
また、山岳地域においては特に重要となるメンテナンス面においてもメリットは大きく、適正な処理能力内の使用であれば年に2〜3回、おがくずの交換を必要とするだけだ。さらに使用後のおがくずは、植物の養分となる窒素やカリウムなどの無機物を含み、良好な肥料として再び自然界の物質循環に加わる。思えばかつての日本では、糞尿は肥料として土に帰し、農作物などの生長を促して、再び僕たち人間の食料となって循環していた。つまりそこには、完璧ともいえるリサイクルのシステムが成り立っていたわけだ。バイオトイレのシステムもまさにそれと同じ。この「原点回帰」ともいえる最先端のトイレは、すでに富士山や、北海道の大雪山系をはじめとする山岳地域にも広く導入され、高い評価を得ている。
現在屋久島では、白谷雲水峡とヤクスギランドにおいて、林野庁が観光客から「入山協力金(1人300円)」を得ている。今やその金額は年間4000万円を超え、集まった資金はあくまでも両施設のためだけに使われているという。その内訳は人件費や登山道整備、リーフレット制作などで、毎年きっちり全額を使い切っているそうだが、もっと有効で柔軟な使い方ができないものかと疑問に思う点は多い。





