11月終わりのある平日に、妻も役員を務める生協(生活協同組合)の屋久島地区メンバーが中心となって、「さば節工場」の見学ツアーが催された。僕は以前に雑誌の仕事で同じ工場を取材したことがあったが、この日はさば節を使ったうどんの試食もあるというので、妻と一緒に参加することにした。


「さば節」というのは、少々乱暴な表現だが、「かつお節のさばバージョン」といえば分かりやすい。かつては近海でカツオがよく獲れたことから、屋久島でもかつお節を製造していたそうだが、明治の頃から次第に獲れなくなると、カツオの代わりにサバを利用するようになったという。屋久島近海で獲れるサバは「屋久さば」と呼ばれ、中でも釣ってすぐに首をへし折り、血抜きをして鮮度を保つという「首折れさば」は絶品だ。素材のよさはもとより、屋久島の水を使い、機械に頼らない昔ながらの製法によって作られる「屋久さば本枯節」は、極上のだしが取れるとあって、多くの料理人が理想の味を探求した挙句、ここに行き着くという話も聞くほどだ。
当日、集合場所の安房(あんぼう)を出発し、宮之浦(みやのうら)で旧上屋久町からの参加者と合流すると、さば節の里・一湊(いっそう)にある「馬場水産」へと向かう。今回は旧屋久町と旧上屋久町、両ブロック合同の催しとなっただけに参加者も多く、40人乗りの貸し切りバスはほぼ満席。普段乗ることのない観光バスでの移動となると、日常の風景も観光地らしく見えてくるから不思議だ。




