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巨樹と巨岩と深い森

2007年11月19日

「太忠岳(たちゅうだけ)に登ってみたい」

以前から妻はそう話していた。太忠岳は里から見える前岳と、島の中央に聳える奥岳の間に位置する山で、標高も1497メートルとそれなりにある。山頂には高さ40メートルにもおよぶ天柱石(てんちゅうせき)と呼ばれる巨岩がそそり立ち、天気がよければ安房(あんぼう)の町からもはっきりとその姿を確認できる。

「あのてっぺんから、島を見下ろしてみたいのよねぇ」

「今度天気がいいときに、一緒に行こうか? オレもしばらく登ってないし……」

僕は3年ほど前に一度登頂していたが、この島に移住してきてからは登っていなかった。そのときの天気は今ひとつで、山頂からの眺望も絶景というにはおよばず、僕もいつか「リベンジ」しようと考えていた。

比較的安定した天候が続いていた11月のある日、妻の休みに合わせて太忠岳山頂を目指すことにした。その日は平日だったので、一応子供たちの許可が必要だ。

「お父さんとお母さん、一緒に山登りに行って来るから、今日は二人とも“お預かり”にしてくれる?」

太忠岳まではヤクスギランド入口から往復約8キロ。一般的なコースタイムは約6時間だが、僕の場合、いつも写真を撮りながら歩くので、大体その2〜3割増しといったところ。小学校と幼稚園が終わるまでに下山してくるのは、まず不可能だ。

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