「屋久島の森の中や巨樹の下で、結婚式を挙げたい……」
以前からそんなことを口にする人はいたが、最近では心なしか、同じような望みを持つ人が増えているような気がする。結婚式にも多種多様なスタイルが見られるようになった昨今、森の中での挙式があっても不思議ではない。経験しているわけではないが、その感性には僕も共感を覚える。
そもそも屋久島では、古くから山そのものをご神体として崇め、人々は山や森と深い関わりを持ってきた。それは、現在も各集落で行われている山岳信仰のひとつ、「岳参り(たけまいり)」に象徴されるように、今なお色濃く残っている。森の中での結婚式は、まさしく神々の下で執り行うことに他ならず、その意味においては理に適ったスタイルともいえる。
この夏、僕のところに一通のメールがきた。メールの差出人は横浜に住む女性で、11月に控えた結婚式に先んじて、屋久島のロケーションでウェディング写真を撮ってもらえないか、という内容だった。その文面からは、すっかり屋久島に魅せられている彼女の心情が容易に読み取れる。同じくこの島に魅せられ、移住してきた僕としてもその気持ちはよく理解できるので、快く引き受けさせてもらうことにした。





