離島に暮らす不安材料として、医療面の格差を挙げる人は多い。その点で屋久島はまだ恵まれているほうで、いくつかの診療所に加えて大きな総合病院がひとつある。それでも病気やケガの症状によっては、本土の病院まで足を運ばなければならないケースも少なくない。医療費以外に出費がかさんでしまうのは致し方ないが、一刻を争うような事態においては深刻だ。
サラリーマンを辞めてもうすぐ3年、屋久島に来てから2年以上が経つが、その間、一家の大黒柱である僕は一度も健康診断を受けていなかった。年齢的なものに加え、島の医療事情とフリーランスという立場を踏まえて、以前よりもずいぶん健康には気を使うようになった。とはいえ、見た目は健康でも、実際はどうだか分からない。クルマでいえば、こまめにオイル交換などのメンテナンスはしているものの、車検に通していないようなものだ。これではいけないと、1年ほど前に島内の総合病院に問い合わせたことがある。
「今度、健康診断を受けたいのですが……」
「国保だったら、通常の健診より人間ドックのほうがお得ですよ」
どういうことかと尋ねてみると、国民健康保険の加入者であれば、3万円ほどかかる人間ドックの受診料のほぼ全額が、町から補助されるという。しかしこのとき僕は、以前勤めていた会社の社会保険に任意継続という形で加入していた。継続期間は2年間で、数ヶ月後には国保に切り替える予定だったため、せっかくならそれ以降に人間ドックを受診することにした。
それからなんだかんだでタイミングが合わず、ようやくこの7月に、僕の人生で初となる人間ドックの日を迎えた。受付を済ませると、まずは控え室となる病室に案内された。マウンテンビューの素晴らしい個室だ。ちなみに廊下を挟んで反対側の病室は全室オーシャンビュー。「病は気から」とはよくいうが、隣のビルの壁しか見えないような都会の病院に比べれば、はるかに気分がいい。





