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名もなき屋久杉

2007年7月9日

屋久杉。樹齢千年を超える杉を、屋久島では敬意を込めてそう呼ぶ。それに対して、樹齢千年に満たない杉は「小杉」と呼ぶ。一般に杉の寿命は500年程度といわれるが、この島ではその倍近い年数を生きてもまだまだ半人前でしかない。

一説によれば、かつて屋久島には、万単位の数の屋久杉が生育していたとされている。江戸時代以降にその5〜7割が伐採され、現在残っているのは2〜3千本程度だともいわれている。そのうち「縄文杉」など名前のついた著名な屋久杉は、せいぜい40〜50本程度。多くの名もなき屋久杉が、この島の森のどこかにひっそりと生き長らえているのだ。

先日、環境省主催の自然観察会に参加した。島の西、栗生(くりお)集落から延びる小楊子(こようじ)林道を歩くというものだ。当日の朝8時半、「屋久島世界遺産センター」に集合すると、参加者全員が一台のマイクロバスに乗り込み、栗生方面を目指す。島内をバスに乗って巡ることなど滅多になく、今となっては見慣れた風景ばかりだが、何となく旅をしているような気分だ。

小1時間ほどで栗生まで来ると、いよいよ小楊子林道に入る。車体の大きなマイクロバスだけに、そんなに上までは行かないだろうと思っていると、クルマ1台分程度の道幅しかない未舗装の林道をどこまでも上っていく。ガードレールなどあるわけもなく、一歩間違えば崖下へ真っ逆さま。それだけで十分な絶叫アトラクションだ。環境省主催とあって、一般車両を通行止めにしているゲートを開け、バスはさらに突き進む。林道を走ること約1時間。標高900メートル付近まで上り詰めてバスを降りると、ようやくこの日のプログラムがはじまった。

事前の情報では「林道散策」としか聞いていなかったので、高を括ってTシャツにセミロングのアウトドアパンツという軽装で来てしまった。気がつけば標高1000メートルの山中だ。歩くルートは確かに林道だが、バスを止めた先はもう何年も使われていないらしく、すっかり藪になっている。途中、山が大きく崩壊している場所をトラバースするなど、予想外の展開だ。しかもこの日は雨が降ったりやんだりのあいにくの天気。僕はともかく、小学生や年配の参加者が気になって仕方がない。

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