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島のキャンドルナイト

2007年6月25日

6月22日、夏至。この日から3日間、今年も全国規模のイベントが行われた。午後8時から10時までの2時間、みんなで電気を消してろうそくを灯そうという「100万人のキャンドルナイト」がそれだ。5年前に始まったそのイベントは、年々賛同する人が増えて規模も大きくなり、今や誰もが耳にしたことのあるものとなった。

夏至は1年で昼の時間が最も長く、夜が最も短い。屋久島の日の入は遅く、東京のサイクルが染み付いている僕たちにとって、夏至に限らずこの島の昼間はやたらと長く感じる。この時期の日の入は7時半頃だから、かれこれ8時近くまで明るみが残る。夕食を終え、一家団欒もいい頃合いで、我が子らがそろそろ歯を磨こうという時分にようやく夜の帳が下りる。

毎年この時期にはイベントに関係なく、我が家では幾度となく「キャンドルナイト」を楽しむ。楽しむかどうかは別にして、屋久島では多くの家庭がそうする。それは省エネや地球温暖化対策というよりは、梅雨時に大量発生するシロアリ対策だ。

雨上がりの蒸し暑い日、彼らは決まって日没後30分ほどすると、家の明かりなどを目掛けて群飛しはじめる。移住早々、島の人たちは皆、僕たちに同じアドバイスをしてくれた。「流し虫が飛んでいるのを1匹でも見たら、すぐに窓を閉め、家中の電気をすべて消して1時間我慢しなさい」と。

最初は「流し虫」と言われても何だか分からず、どんな風流な虫かと思ったが、どうということはない、ただのシロアリだった。屋久島では梅雨を「流し」といい、シロアリは梅雨に発生するから「流し虫」というわけだ。彼らは1時間ほど飛び交うとパタッと姿を消すのだが、気がつくと羽を落としてベランダや家の中をモソモソと這っている。窓を閉めるだけでは彼らの侵入を防ぐことはできず、サッシのレールの隙間から次々に入り込んでくるから厄介極まりない。電気を消して誘引しないことが最も効果的なのだ。

「今日は流し虫が来るかもね……」

夏至の晩、朝から降り続いていた雨は上がり、辺りはジメジメした空気に包まれていた。シロアリの発生する条件は揃っている。夕食を終えて一服していると、8時きっかりに1匹目が飛来した。

「ほら、やっぱり来たぞ! 窓閉めて!」

窓を閉め、家中の電気を消すと、ランタンのスイッチを入れる。窓を閉め切っていても大丈夫なように、ランタンは電池式だ。

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