「屋久島海祭り」でカヌー体験をしてから、我が子らの興味がまたひとつ広がった。そのときはあくまでも試乗という名目だったので、河口付近をパシャパシャと一周しただけ。我が子らは当然、それに満足するはずもなかった。
屋久島の自然と一体になって遊ぶには、カヌーは打って付けだが、トレッキングやスノーケリングなどと違って、最低限の道具を揃えるだけでもかなりのコストが掛かる。観光客向けのレンタルショップもあるが、決して安くはないレンタル料をその都度払うのももったいない。あれこれ考えあぐねているうちに、この島に来てから2年が経ってしまった。
「今度カヌーに乗せてくださいよ」
そうお願いしていたのは、昨年屋久島に引っ越してきた、娘の同級生のお父さん。11月に行われた「屋久町町内一周駅伝競走大会」で、同じ「明星Aチーム」として優勝の杯を交わしたチームメイトでもある。何でも学生時代はカヌーに入れ込んでいたらしく、自作のカヌーを含めて5艇所有しているという。そんな彼と別の機会に会った際、再びカヌーの話題を振ってみた。
「カヌーをするには、いい季節になってきましたねぇ」
あまりに本心がみえみえだが、そのほうが話は早い。
「梅雨入りしてしまう前に、一度行きましょうか?」
「いいですねぇ〜。ぜひ、お願いします! ウチの子たちも海祭りで体験して以来、カヌーに乗りたがっているんですよ」
合意を得たら、早速家族ぐるみのカヌー&バーベキューを計画。カヌーを拝借するだけでは恐縮なので、バーベキューは我が家が振舞おうというわけだ。
そしてある週末、島の西を流れる栗生(くりお)川へ。水がきれいなのはもちろん、流れも緩やかなので、子供とカヌーを楽しむにはもってこいの場所だ。

「まず、パドルの漕ぎ方を教えますね」
「はーい!」
我が子らは、パドルで水面をバシャバシャ叩いたことはあっても、きちんと漕いだことはない。ひと通りレッスンを受けたら、いよいよエントリー。この日は少々風が強く、通常ポイントとなっている海岸からではなく、比較的風の当たらない少し上流から入ることに。そして砂地の浅瀬にカヌーを浮かべると、一番大きな艇に妻と子供たちの3人が乗る。まずは漕ぐ練習からだ。娘はぎくしゃくしながらも、一応教えられたことをイメージしながら漕いでいる。一方、息子は見よう見まねだが、偶然にもしっかりとパドルで水を捉え、それなりに様になっていた。




